家庭菜園を始めたばかりで、春夏に何を育てるか迷っている方は多いのではないでしょうか。ししとうはその解決策に最適です。広い畑がなくてもプランターでたくさんの実をつけるししとうは、収穫の喜びを存分に感じられる野菜です。初期の成長さえしっかり管理すれば、その後はさほど手間を要せずに育てることが可能で、初心者の方にもぴったりです。
この記事では、ししとう栽培の月ごとのカレンダー、詳しい作業手順、そしてしま農研での実際の栽培レポートをご紹介します。プランターでししとうを栽培することに興味のある方は、ぜひこの情報を参考にしてみてください。

ししとうは簡単でたくさん収穫できるので初心者の方にもおすすめ!プランターでも栽培できるのでぜひ挑戦してみてください。
1.ししとうについて
ししとうは中南米原産のナス科トウガラシ属の野菜で、15世紀に南米からヨーロッパへ伝わり、その後世界中に広まりました。
辛みが少ない「甘み種類」のとうがらしであり、「甘とうがらし」とも呼ばれることがあります。ししとうには、万願寺とうがらしや甘長とうがらしも含まれます。辛いとうがらしと間違えないようにしましょう。
名称 | ししとう |
原産地 | 中南米 |
分類 | ナス科トウガラシ属 |
発芽温度 | 25℃~30℃ |
生育適温 | 22℃~28℃ |
プランター | 10号以上 |
pH | pH6~6.5 |
収穫まで | 約2ヶ月 |
2.ししとうの栽培計画と準備
この章ではししとうを実際に育てる前の栽培計画と準備について解説していきます。栽培を始める前に、シミュレーションや準備をすることは、成功への第一歩となります。
2.1 ししとうのプランター栽培カレンダー
ししとうは22~28℃の範囲で最もよく成長します。このため、気温が安定し始める5月初旬に定植するのが最適です。しま農研では、ゴールデンウィークを利用して夏野菜の植え付けを行っています。適切な栽培を行えば、6月後半から収穫を楽しむことができます。
しま農研でのししとうの栽培経験を基に、月別の具体的な作業と成長の様子をカレンダー形式でまとめました。このカレンダーを参照することで、ししとうの成長の進行や、それに伴うケアのタイミングを具体的にイメージすることができます。
なお、このカレンダーに記載されているデータはしま農研での実際の結果をもとにしています。あなたの環境や条件下での栽培時には参考程度にご利用ください。

2.2 ししとうのプランターの大きさの選定
ししとうはプランターでも十分育てることができます。根詰まりをふせぐため深型のプランターを選ぶとよいでしょう
しま農研では、右の写真のようなプランターでよく育てています。こちらのプランターは通気性もよく土の量も少なくすむためおすすめです。丸型であれば10号の深型(30cm以上)プランターを選べば十分育つでしょう。

プランターの選び方や注意点に関する詳細な情報は、別の記事で紹介していますので、新しいプランターをお探しの際には参考にしてみてください。
2.3 ししとうの品種の選定
シシトウは様々な品種があります。色んな品種を育てて楽しむのもおすすめです。
今回は、しま農研で実際に育てた経験のある品種をいくつか紹介します。他にも魅力的な品種が多数ありますので、園芸店での探索もおすすめします。

品種 | 詳細 |
万願寺とうがらし | 万願寺とうがらしは京野菜のひとつで、甘みとボリュームがあるのが特徴 |
甘とう美人 | ボリュームがあり曲がり果が少ない。低温性に優れている |
宝楽 | 奈良県産の大和野菜のひとつ。硬化が遅くやわらかい実を収穫しやすい |
紫シシトウ | 黒紫の実がなるので変わったシシトウを育てたい方にもおすすめ |
2.3.1 珍しいししとうの購入方法
ししとうは様々品種があります。ホームセンターなどではあまり手に入りにくい品種かもしれません。大きな園芸店などに行って珍しい品種を買うのもおすすめです。
しま農研が行ったことのあるおすすめ関東の園芸店はこちらの記事にまとめていますので、色んな苗を探したい時にはこちらの記事も参考にしてください。
2.4 ししとうの苗の選び方
ししとうは苗から育てるのが一般的でう。良質な苗を選ぶことは、その後の生育や収穫において非常に重要です。
適切な苗を選ぶこで、栽培がスムーズに進み、病害虫のリスクを低減できるでしょう。選び方のポイントを表にまとめましたので参考にしてください。
選び方のポイント | 詳細説明 |
本葉の枚数 | 本葉が10枚以上のものが最適 |
一番花の存在 | 一番花が咲いているか蕾があるものがベスト |
本葉の健康状態 | 色が濃く、病気や害虫被害がない |
茎の太さと節間の長さ | 節間が長い徒長気味の苗はさける。茎が太く節間の短い苗を選ぶ |
2.5 ししとうのプランター栽培の土づくり
プランターで使用する土は、2年目以降も適切な手入れを行えば再利用が可能です。プランター栽培を初めて行う方は、園芸店で取り扱っている野菜用の土を購入するのがおすすめです。
具体的な土の処理としては、土からの古い根を取り除いた後、土の再生材を混ぜ込んで使用します。さらに、太陽熱消毒を行うことで、土の状態をより良くすることができます。具体的な手順や詳細については、別の記事で詳しく解説しています。
3.ししとうのプランター栽培方法
ししとうの栽培は、比較的簡単です。成功のポイントは生育初期の下葉の処理とこまめな収穫が成功のポイントです。この章ではししとうを実際に育て方について解説していきます。
3.1 ししとうの定植【プランター】
ししとうの苗を定植するときのは、根が活着することを意識することが大切です。各工程で水をこまめにあたえてあげると根の活着がよくなります。
植え付け前のポット、植え付け用の穴、定植後の株のまわりの3回水を与え根の活着を促進する
3.1.1.苗のポットに水をあたえる
植え付け前の1,2時間前に水をあたえて、根に水を吸わすと活着がよくなります。
この際に液体肥料を希釈してあたえるとより活着します。

3.1.2 苗を植え付ける穴を空けて水をいれる
穴を空けて一度ポットをいれてみて深さを試します。ナスは浅植えにすると根が傷んでしまい、深植えすると葉が土に近くなってしまうので病気にかかりやすくなります。根鉢と鉢土が同じ高さになるようにします。
最後に根の活着をよくするために開けた穴に水をいれます。

2.3.3 植え付け後はたっぷり水をあたえて仮支柱を立てる
ポットから根鉢が崩れないように丁寧に外し植え付けます。接木苗の場合は接ぎ木部分に土がかぶらないようにします。
植え付けが終わったらたっぷり水をあたえます。強風で倒れないように仮支柱を立て麻紐等で誘因します。

3.2 しししとうの下葉の摘み取り【プランター】
ししとう栽培において、初期の成育が肝心です。特に、下葉の摘み取りは重要な作業の一つですが、そのタイミングを間違えないことが肝心です。下葉とは、一番花より下に位置する葉のことを指します。
しま農研では、一度に下葉を全て摘むのではなく、段階的に摘み取っています。まず、脇芽を先に摘み取り、それから少し時間を置いてから下葉を全て摘むという手順を踏んでいます。

3.2.1 下葉のわき芽を摘み取る
ししとうがある程度成長してきたら、一番花より下の葉のわき芽を摘み取ります。わき芽とは、葉と枝の間から生えてくる側枝のことを指します。これらのわき芽を摘むことで、株に余計なエネルギーを使わせずに済み、より良い成長を促すことができます。
株の成長具合にもよりますが、植え付けから約2~3週間後がわき芽摘みの適切なタイミングと言えるでしょう。

3.2.2 下葉を摘み取る
ししとうが成長して一定の大きさに達したら、一番花の下に位置する全ての葉を摘み取ります。これは、株のエネルギーを実の成長に集中させ通気性をよくするために重要な作業です。
しま農研の経験では、下葉を早すぎる段階で摘み取ると、植物の光合成能力が低下し、適切な成長ができないことがありました。したがって、光合成を行う葉が十分に育ってから、具体的には写真に示されるくらいの大きさに成長した後に下葉を摘み取ることをお勧めします。

3.3 ししとうの支柱立て【プランター】
ししとうの成長に伴い、植物が重くなり根元が折れたり倒れたりするリスクが高まります。このような事態を防ぐため、支柱立ては必須の作業です。
支柱は植物を支え、全体の安定性を高める役割を果たします。特に、ししとうは下葉を整理した後、上部の葉が横に広がり、風の影響を受けやすくなるため、適切な支柱立てが重要です。
3.3.1 ししとの支柱立てのタイミング
定植から約2週間後、ししとうがある程度の大きさに成長したら、120cm程度の長さの支柱を準備します。この時点で本支柱を設置し、植物の安定を図ります。
株の成長に伴い、植物の横方向の成長に対応するため、麻紐などを使用して植物を誘引したり、追加の支柱で安定性を高めます。これにより、風などの外部影響によるダメージを最小限に抑えることができます。

3.4 ししとうの収穫【プランター】
ししとうは、未熟な状態で収穫する野菜です。株に余計な負担をかけず、多くの実を収穫するためには、こまめな収穫が重要です。品種にもよりますが、一般的には長さが約7cm程度になった時が摘み取りの適切なタイミングです。
ししとうを株に長く実を残しておくと、成長や実のなりに悪影響を及ぼす可能性があります。栄養が実に取られてしまうことで、他の実の成長が妨げられるためです。また、成熟し過ぎると実がトウガラシのように赤く変色します。

3.5 ししとうの水やり
3.5.1 暑さを避けた水やりのタイミング
ししとうは比較的水を多く必要とする野菜です。特に成長した夏は水分の要求も多く水切れしやすくなります。また、プランター栽培の場合、土の乾燥が早いためこまめな水やりが必要です。
真夏などの高温期には、暑さを避けて朝や夕方に水やりをすることで、根のダメージを最小限に抑えることができます。この時間帯の水やりが、ししとうの成長のためにおすすめです。

3.6 ししとうの追肥【プランター】
ししとうやトウガラシの追肥は、6月上旬ころに最初の追肥をはじめます。その後、2週間ごとに追肥を行います。
また、花が咲いてもすぐに落花してしまう場合や、実が全く成長しない場合、実が小さいうちに柄が黄色くなり枯れ落ちる場合などは肥料切れのサインですので、適切なタイミングで追肥を行いましょう。

追肥作業は深く、正しい方法を見つけるためには多くの経験と知識が必要です。追肥に関する学びは、植物の微細な変動や状態を敏感に捉える観察力を身につけるプロセスでもあります。このような観察のスキルが研ぎ澄まされると、植物との日々のやり取りがより豊かで楽しいものに変わってきます。
追肥の詳しい手法や考え方については、こちらの記事でより詳しく解説しています。しま農研としても、このジャンルに関しては現在も研究を続けております。知識を深めたい方は、ぜひ当記事を参考にしてください。
4.ししとうのプランター栽培記録
4.1 ししとうのプランター栽培レポート
しま農研ではししとうのプランター栽培の過程を実際に観察し、「栽培レポート」として詳細にまとめています。このレポートには、月ごとの成長記録や日常のケアの様子が含まれています。これにより、あなたの栽培の参考や目安としての活用ができるようにしています。
家庭菜園には多くの疑問や課題が存在します。そのため、しま農研はこれらの疑問や課題に対して実際の検証や考察を行っております。例えば、ししとう品種による成長や収穫の比較など失敗した実例を含む多岐にわたるテーマについてレポートしています。
5.まとめ
この記事を通して、プランターを使ったししとうの栽培に関するあらゆる情報を包括的に提供しました。特に、プランター選びのポイント、効果的な栽培計画の立て方、そして実際の栽培プロセスについて、詳細にわたって解説しました。また、しま農研で実際に育てたししとうの栽培レポートを共有しています。
ししとうは、広い畑がなくてもプランターで豊富な収穫を得られる野菜です。初期成育に注意を払えば、その後は比較的少ない手間で栽培でき、家庭菜園初心者にも適しています。この記事が、ししとう栽培に興味を持つ方々の役に立てば幸いです。
また、しま農研では多様な野菜の栽培方法を紹介しており、それらの記事は50音順で整理しています。どの野菜に興味を持っているかに関わらず、必要な情報を簡単に探すことができます。ぜひとも、これらの情報を参考にしてみてください。
読んでいただきありがとうございました!
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