鍋にしても美味しいシュンギクは冬の料理には欠かせない野菜の1つです。成長も早く長期間収穫でき、育てやすい秋冬野菜でも人気の高い野菜です。
シュンギクはキク科の植物になり、その匂いが同じく秋冬野菜で人気の高いアブラナ科の害虫防除効果も見込まれるコンパニオンプランツです。
シュンギクには収穫方法がことなる2種類の品種がありますが、家庭菜園でおすすめは長期間収穫できる”摘み取り種”になります。この記事では、そんな摘み取り種の収穫方法も解説しています。ぜひ参考にしていただいて、美味しいシュンギクを育ててみてください。

シュンギクは比較的害虫被害が少ない野菜なイメージです。しま農研でも害虫対策なしで挑んだ初めての冬野菜でも元気に育ってくれました。
1.シュンギクについて
シュンギクは地中海産原産の植物ですヨーロッパでは独特な香りがあまり好まれないため観賞用として栽培されており、食用として使われているのはアジア地域のみになっています。
生育温度は15~20℃と比較的涼しい気候を好みます。寒さに強いですが、発芽から本葉展開までは寒害にも合いやすいため秋から育てるのに適した野菜です。
名称 | シュンギク |
原産地 | 地中海沿岸 |
分類 | キク科シュンギク属 |
発芽適温 | 15~20℃ |
育成適温 | 15~20℃ |
株間 | 15~20cm |
土壌酸度 | pH6~6.5 |
収穫まで | 約1ヶ月 |
2.シュンギクの育て方
2.1 シュンギクの栽培計画
2.1.1 シュンギクの種まきは9月頃がおすすめ
シュンギクの発芽・生育温度は15~20℃です。27℃以上の気温では生長が阻害され、生育初期は寒害が受けやすい特性があります。したがって、暑すぎず寒すぎない時期に播種することが重要です。その年の気候によりますが、一般的には8月下旬から10月中旬頃が適しています。
2.1.2 家庭菜園では摘み取り種の方がおすすめ
シュンギクには葉の大きさで大葉種・中葉種・小葉種の3つがあります。また、収穫方法が異なる株張り種と摘み取り種の2つに分けられます。
摘み取り種は、草丈はやや低いが葉は密につまり、多収穫が可能です。伸びた葉先を摘み取りながら側枝を繰り返し収穫するため、収穫時期を分けて行うことができます。
一方、株張り種は株元から多く分岐し、株元から一度にたくさん収穫できるタイプです。一度にたくさんの収穫が必要な場合は、株張り種がおすすめです。
どちらのタイプも一長一短がありますが、しま農研では収穫をコントロールできる、摘み取り種を選定しています。
2.2 シュンギクの土づくり

シュンギクの土作りは、手早く行うことが成功の秘訣です。特に夏野菜が植えられていた場所に植える場合は、草勢の衰えた野菜は早めに撤去し、根や害虫の卵を丁寧に取り除きましょう。余裕がある場合は、太陽熱消毒などの対策を行うとさらに効果的です。
次に、シュンギクの好む土の酸度をpH6~6.5に合わせるために、有機石灰をまきます。そして、必要に応じて堆肥や肥料を混ぜ込んでください。時間に余裕がない場合でも、酸度調整と肥料のみでも十分に育てることができます。時期を逃さないように注意しましょう。
秋冬野菜の土作りの詳しい手順は、当サイトで詳しくまとめていますので、ぜひ参考にしてください。良質な土作りがシュンギクの健康な成長を後押しし、美味しい収穫につながります。
2.3 シュンギクの種まき手順

2.3.1 水をまいて土を濡らしてから深さ1cmほどのまき筋を作る
シュンギクは乾燥を嫌うため、種まき前に水をまいて土を濡らしておくと、種も流れずに良い環境を整えることができます。次に、種をまく場所に深さ1cm程度のまき筋を作り、種をまきやすい状態にします。また、2条以上植えたい場合は、摘み取り品種は10~20cmほどの間隔を開けてまき筋を作ってください。
2.3.2 まき筋に0.5~1cm間隔に播種し光が入る程度に覆土する。
たくさんの種をまいてしまうと、後で間引きが大変になることがありますので、0.5~1cm間隔に適量の種をまいてください。シュンギクの種は好光性種子と呼ばれ、発芽に光を必要とする性質を持っています。そのため、種をまくまき筋には光が入る程度に0.5cmほどの覆土をします。これにより、種が適切な条件で発芽し成長することができます。
2.4 シュンギクの間引き手順
間引きとは、種まき後に適切な間隔を保つように余分な苗や芽を取り除く作業です。シュンギクの間引き方法は品種によって異なります。
① 間引き1回目:本葉が1~2枚の時に株の間隔を2~3cm程度にする 最初の間引きは、シュンギクの苗が本葉を1~2枚展開した時に行います。株の間隔を2~3cm程度に保つように間引きを行います。
② 間引き2回目:本葉が4~5枚の時に株の間隔を5~6cm程度にする 2回目の間引きは、本葉が4~5枚展開した時に行います。この時は株の間隔を5~6cm程度に広げるように間引きを行います。なお、株張り種はこの段階での間引きで終了となります。
③ 摘み取り種の場合:本葉が7~8枚になったら10~20cmほど株間を開ける 摘み取り種の場合は、本葉が7~8枚展開した時点で間引きを行います。株間を10~20cmほど広めにとることがポイントです。
間引きの際には、生育が良い苗を残し、成長が遅れている苗や弱そうな苗を取り除くようにします。間引いたシュンギクは食べることもできるので、サラダなどに活用して楽しみましょう。間引きについての詳細な手順は一覧表にまとめていますので、参考にしてください。
間引き | タイミング | 株の間隔 | 品種による違い |
1回目 | 本葉が1,2枚の時 | 2~3cm | |
2回目 | 本葉が4,5枚の時 | 5~6cm | 株張り種はここで完了 |
3回目 | 本葉が7,8枚の時 | 10~20cm | 摘み取り種はここで完了 |
・生育のよいものを残して、悪いものを間引いていく
2.5 シュンギクの収穫と追肥

シュンギクは品種によって収穫方法が異なります。摘み取り種と株張り種に分けて解説していきます。
2.5.1 摘み取り種の収穫と追肥
摘み取り種は側枝を伸ばしながら収穫していきます。最初の収穫時に株間に追肥を施します。その後は、葉の様子を見ながら薄くなるタイミングで追肥していきます。シュンギクの追肥は、堆肥や有機肥料を株元にまき込むか、液体肥料を与える方法があります。
3回目以降の収穫については、一度に摘むと根が傷ついたり、側枝が過剰に伸びる可能性があるため、常に2本くらいの葉を残しながら収穫していきます。
収穫のタイミングについては以下の表を参考にしてください。
収穫 | タイミング | 収穫する箇所 | 日数目安 |
1回目 | 本葉9枚~10枚、草丈20~25cmくらい | 本葉を4~5枚残して茎を切る | 播種40日 |
2回目 | 側枝が25cmくらい伸びたら | 本葉を2枚残して茎を切る | 播種55日 |
3回目以降 | 側枝が25cmくらい伸びたら(伸びが悪いもの摘む) | 本葉を2枚残して茎を切る | 播種70日 |
2.5.2 株張り種の収穫と追肥
株張り種は基本的には追肥は必要ありません。背丈が20cmくらいになったら株元をはさみで切り取るか、根っこから引き抜いて収穫します。
株張り種は栽培期間が35日程度と短いため、播種のタイミングをずらすなど工夫して、必要な量を収穫できるようにコントロールするとよいでしょう。
3.シュンギクのコンパニオンプランツ効果
シュンギクはコンパニオンプランツとして相性の良い野菜が多く、特にアブラナ科との組み合わせがおすすめです。キク科の植物は独特な香りは、害虫忌避の効果が期待できます。
シュンギクと相性の良い野菜には、以下のようなものがあります。
ダイコン、キャベツ、ブロッコリー、チンゲン菜、カブ
これらの野菜は、シュンギクと一緒に植えることでお互いの成長を助け合い、害虫を遠ざける効果が期待できます。また、シュンギクは条間(株と株の間のスペース)もあまりとらないため、コンパニオンプランツとして選定しやすい野菜と言えます。
コンパニオンプランツの組み合わせを工夫することで、シュンギクの栽培がさらにスムーズに進み、野菜たちが健やかに成長することが期待できます。ぜひ、家庭菜園でのシュンギク栽培に挑戦する際は、コンパニオンプランツの効果を考慮して楽しい栽培をお楽しみください。
4.まとめ
シュンギクは秋冬野菜の代表格であり、生長が早く長期間収穫できる魅力的な野菜です。この記事では、シュンギクの育て方について詳しく解説してきました。地植えで栽培する場合は、摘み取り種の方が収穫をコントロールできるのでしま農研的にはおすすめです。
冬の到来とともに、あたたかい鍋料理が頭をよぎる方も多いのではないでしょうか。その鍋に欠かせない彩りとして、自家栽培のシュンギクを彩りと味のアクセントとして加えてみてはいかがでしょうか。今回の情報が、あなたのシュンギク栽培の一助となれば幸いです。
秋からはじめる家庭菜園は他にも魅力的な野菜がたくさんあります。こちらの記事では、しま農研がおすすめする秋冬野菜をご紹介していますのでよろしければ参考にしてください。
読んでいただきありがとうございました!
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