夏野菜の栽培が終わった後、そのままの土で秋冬野菜を植えるか、土作りをするか悩んでいますか?答えは、できるだけ土作りをした方が良いです。
秋冬野菜は植え付け時期がとても重要な要素になってくるため、植え付けがずれそうな場合はpHを整えるために石灰で調整し元肥をいれるたり、再生材を混ぜるだけでもよいでしょう。夏野菜の栽培後におこなう秋冬野菜の土作りはできるだけ手早くする必要があるためじっくり時間をかける春の土作りとは少し違った工程になります。
この記事では、なるべく早く作業するために地植えとプランターでの秋冬野菜のための土作り手順について項目を分けて説明します。また、夏の期間に効果の高い太陽熱消毒についても解説していきます。
この記事を参考に計画を立てて早めに土作りの準備をして秋野菜の栽培に備えましょう!

夏野菜もそろそろ終わり。植え付け前に土を少し整えて、おいしい秋冬野菜をのつくりましょう!
1.秋冬野菜の地植えでの土作り
地植えでの土作りは、まず準備として夏野菜の片付け、残渣処理、および土の観察し、石灰、堆肥をいれて土を調整します。そして、最後に元肥を施していきます。
また、害虫や病原菌が気になり期間に余裕がある場合は太陽熱消毒をすることもおすすめです。この章では地植えでの土作りについて詳しく解説していきます。
1.1 秋冬野菜の土作り:夏野菜の片付け、残渣処理、および土の観察
秋冬野菜の土作りについて最初の工程は、今まで育てていた夏野菜の片付けと残渣処理からはじまります。この章ではそのポイントを解説していきます。
・時期の判断:まだ収穫可能でもお盆前後で片付ける
・残渣の処理:初心者は残渣を捨てた方が無難※マリーゴールドは好きこんでもよい
・根を観察:根っこはよく観察する
・根や害虫の処理:土をよくみて細かな根や害虫の卵を取り除いておく
1.1.1 片付ける時期を判断する
秋冬の野菜の植え付け期間は限られています。そのため、成長が鈍くなった夏野菜は早めに撤去を検討しましょう。特にナスやピーマンのように秋まで収穫可能な野菜は、継続して栽培するのも良い選択肢です。
しかしながら、秋までの栽培を予定していない場合は、お盆前後に作業を開始すると良いでしょう。

1.1.2 残渣処理
野菜を片付ける際に今まで植えていた葉や茎”残渣”に関しては注意が必要です。例えば、豆類の残渣は土にすき込んで問題ないのですが、ナス科の野菜は病原菌を持っていることがあり、これを土に混ぜると病気の原因となる可能性があります。
特に初心者の家庭菜園においては、このようなリスクを避けるため、残渣をそのまま土に混ぜることはおすすめできません。ただし、マリーゴールドの残渣に関しては、線虫への効果が知られているため、土にすき込むことが推奨されています。

1.1.3 根をよく観察しておく
野菜の根は片付け時にしか観察できる機会がないのでぜひ観察してください。大きく根を張っていたら土の状態がよかったといえるでしょう。今後の土作りの参考にしていきましょう。
また、野菜によって根の張り方が違うのでこの機会にあなたの目で観察してください。よく本などであるきゅうりは浅く広く張るなどを実感することができます。

1.1.4 土を観察。根や害虫を取り除く
最後に地中を観察していきます。今年の土が団粒構造になっているか、土質を毎年みていると少しづつあなたの土が分かってきます。これに対して、いれていく堆肥などを工夫できるようになったら土作りはさらにおもしろくなります。まずはふかふかな土になっているか確認してみましょう。
また、土を観察する際に細かな根はなるべく取り除いていきます。注意すべきは害虫で、土中にいる害虫や害虫の卵をみつけた際は取り除くとよいでしょう。

1.2 秋冬野菜の土作り:土を耕し石灰、堆肥をすき込む
夏野菜から秋冬野菜への切り替えは期間があまりません。秋冬野菜は植え付け時期が命ですので、自分の作付け予定と逆算して土づくりの準備をはじめます。
土を耕し、石灰と堆肥は同時にすき込んでいきます。堆肥は分解に2~3週間必要ですので、余裕がない場合は石灰と元肥を施すのみでもよいでしょう。
植物性堆肥・・・1㎡辺り2~3kg
動物性堆肥・・・1㎡辺り0.5~1kg
有機石灰・・・pH1上げるための使用量の目安:1㎡辺り・・・250g
1.2.1 秋冬野菜の土づくり:土を耕す
夏野菜を育てている間に土が固くなっている場合もあります。30cm程の深さで土を耕していき硬い部分を崩していきます。
この際にも害虫を見つけた際は捕殺していきます。

2.2.1 酸度調整し石灰を混ぜ込む
日本では土が雨の影響等で酸性に傾いていきます。次に植え付ける野菜にもよりますが、pH6~6.5に合わせていきます。
まずは、酸度計等を使って酸度を計測します。低い場合はそれに合わせて適量な石灰を混ぜ込みます。

2.2.2 堆肥をすき込む
堆肥は土壌改良効果もあるので期間に余裕があればいれていきましょう(堆肥の分解は2~3週間程度おいた方がよいでしょう)
この際は、マリーゴールドをすき込むとセンチュウに効果があるといわれていますので、育てている場合は一緒にすき込むのもよいです。

1.3 秋冬野菜の土づくり:元肥をいれる
肥料の選び方や使用量は奥が深くて正解を出すのは初心者にはなかなか難しいです。元肥の選び方のポイントは成分要素、育てる野菜、そして効き方のスピードを意識しておきます。分からない時は「とりあえずやってみよう!」という精神も大事だと思います。
今回は初心者にも使いやすい化成の肥料と、全面施肥方法について説明していきます。
1.3.1 初心者も安心して使える化成肥料
肥料の3大要素として知られるチッソ(N)、リン(P)、カリウム(K)の成分含量が表示されている化成肥料は、初心者にとっても安心して使用できる点が魅力です。種類にもよりますが、即効性があり、約1ヶ月持続します。施すタイミングは1週間前から当日でも大丈夫です。
1.3.2 全面施肥方法
全面施肥とは、畑全体に肥料をまく、そしてよく耕して混ぜ込む方法を指します。全面施肥が向いている野菜の特徴は、栽培期間が短い葉物野菜、根に元肥が触れると形が悪くなる根菜類、そして根が浅く張る果菜類です。秋冬野菜には根の深い野菜は少ないため、全面施肥方法が適しています。
1.肥料をまく・・・畑全体に野菜ごとに適切な量の肥料をまんべんなくまく。
2.耕す・・・土に混ざるようにしクワでよく耕す。
3.表面をならす・・・クワの刃のサイドを使って表面を軽くならす。
1.4 余裕があればやってみよう!太陽熱消毒で害虫・病原菌駆除
太陽熱消毒は、土中の害虫や病原菌、害虫の卵、雑草の種を太陽の熱で死滅させる方法です。特に、暑い夏の日差しはこの消毒方法において効果的です。秋冬野菜の栽培期間中に雑草の成長を抑えることができるため、農作業が軽減されるのも大きな魅力です。
切り替え時に余裕があり、病原菌や害虫が気になる方はぜひ試してみてください。
1.4.1 堆肥・石灰・肥料をすき込み耕す
太陽熱消毒の効果範囲は土の表面に限られます。深い位置の土が表面に来てしまうと、消毒の効果が薄れてしまいます。
そのため、この段階での耕作をしっかりと行っておくことが重要です。

1.4.2 土をしっかり潤す
太陽熱消毒は高温と湿気を利用します。そのため、消毒対象となる土には十分な水分が必要です。
広い畑での作業なら雨を待つ方法もありますが、家庭菜園の場合はホースを利用して一度にたっぷりと水をまくのがおすすめです。

1.4.3 透明のポリマルチを設置
太陽熱消毒を行う箇所には透明なポリマルチを張り、その端を土で固定します。この際、隙間なくしっかりと設置することで、地温を効果的に上げることができます。
設置が完了したら、約2週間程度放置し、消毒を完了させます。



2.秋冬野菜の土づくり プランター編

今までは地植えでの土づくりについて説明していきました。家庭菜園ではプランター栽培も主役の1つですよね。しかし、プランターの土は長期間使用すると栄養が失われることがあります。リフレッシュさせることが必要になります。
プランターの土作りで最も簡単でポピュラーな方法はリサイクル材を混ぜ込み土を再生していく方法です。この方法を行うと土を捨てる必要も、買う必要なく経済的です。また、地植えと同じように太陽熱を利用した消毒をすることもできます。
これらの方法についてはこちらの記事で詳しく改札していますのでぜひ参考にしてください。
3.しま農研の土作りガイド:土作り関連記事のまとめ
ここまでは、秋冬野菜の土作りに焦点をあてて解説していきました。土作りは奥がふかいジャンルです。基本的な作業はこちらの記事で十分ですが、さらにステップアップをめざす方はこちらの記事も参考にしてください。
土の状態のチェック方法や堆肥の選び方などしま農研の土作りに関するノウハウについてこちらの記事にまとめています。
4.まとめ
秋冬野菜を成功させるためのスタートライン、それは適切な土作りです。この記事を通して、地植えとプランター栽培の土作り手順の基礎を学び、夏の強力な日差しを活用した太陽熱消毒の方法も紹介しました。
土作りは、野菜が健やかに成長する土台となる部分。しかし、土作りだけでなく、野菜の選定やその後の育て方、そして配置方法も成功のカギとなります。特に、秋冬野菜は植え付けのタイミングが極めて重要です。秋冬からはじめる家庭菜園の情報はこちらの記事にまとめています。さらなる情報やノウハウが必要な方は、当サイト内の関連記事も参照してください
読んでいただきありがとうございました!
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