こんにちは!しま農研です。しま農研では毎年30種類以上の野菜を、庭やプランターで育てながら、家庭菜園の楽しさを日々体感しています。
今回ご紹介するのは、映画でトトロが使っていた“あの傘”みたいな大きな葉が特徴の、サトイモのプランター栽培です。煮物などでおなじみのサトイモですが、家庭で育てるとそのユニークな姿や、日に日に大きくなっていく葉の成長も楽しめる、“ちょっとした観葉植物感覚”も味わえる野菜なんです。
サトイモは日陰にも比較的強く、ベランダや狭いスペースでも育てやすい上に、収穫の喜びも大きいのが魅力。また、手間が少なく、水やりとちょっとした管理だけで育つのも、プランター栽培にぴったりの理由です。
この記事では、しま農研の実践をもとに、プランターでのサトイモ栽培を芽出しから植え付け、追肥、収穫のコツまでわかりやすくご紹介していきます。
見た目の楽しさと収穫の喜び。どちらも味わえるサトイモ栽培を、ぜひあなたの家庭菜園でも楽しんでみてください!

場所も選ばず、観葉植物のような姿は存在感もあって庭やベランダを賑やかにしてくれます!
1.サトイモについて
栽培を始める前に、まずはサトイモの原産地や特性を知っておきましょう。基本を押さえることで、育て方のコツがつかみやすくなり、家庭菜園がより楽しくなります。
サトイモは、日本でも昔から広く親しまれているサトイモ科の野菜で、原産地は熱帯アジアとされています。自然環境では、水辺や湿地など水分が豊富な場所に自生しており、直射日光を避けた半日陰でもしっかり育つという特性を持っています。これは家庭菜園、とくに日当たりが限られがちなプランター栽培にとって大きなメリットです。
ただし、プランターで育てる場合は土の乾きが早いため、水やりに注意が必要です。特に真夏の高温期は土が乾燥しやすいため、土の表面が乾いたタイミングでこまめに水を与えるようにしましょう。
和名 | サトイモ |
原産地 | 熱帯アジア |
分類 | サトイモ科サトイモ属 |
発芽適温 | 15~30℃ |
育成適温 | 25~30℃ |
プランター | 12号以上 |
土壌酸度 | pH6~6.5 |
収穫まで | 6ヶ月 |
2.サトイモのプランターでの栽培計画と準備
サトイモ栽培を成功させるためには、事前の準備がとても重要です。特にプランター栽培では、限られたスペースの中でいかに効率よく育てるかがポイントになります。
このセクションでは、プランターでサトイモを育てるための基本的な計画と、必要な準備についてご紹介します。
2.1 サトイモのプランターの大きさ
サトイモは根を広く張り、大きなイモを育てるためにはある程度の土の量が必要です。そのため、プランターのサイズ選びはとても重要なポイントになります。
目安としては、12号以上(直径36cm以上)、深さは30cm前後のものが適しています。土の容量がしっかり確保できるプランターを選びましょう。
2.1.1 しま農研で実際に使ったプランター
ここでは、しま農研で実際にサトイモを育てた際に使用したプランターをご紹介します。ご自身の栽培環境に合わせて、プランター選びの参考にしてください。
12号プランター
サトイモのプランター栽培では、もっともスタンダードなサイズです。イモが育つためのスペースもしっかり確保でき、1.5kg前後の収穫も見込めます。
地植えに比べれば収穫量は控えめですが、葉も大きく育ち、まるで観葉植物のような見た目の変化も楽しめるのが魅力です。
2.1.2 プランターの選び方
プランターを選ぶ際には、サイズ表記の「号」や「型」の違いを理解しておくことが大切です。また、材質や形状によって通気性・保水性・保温性が変わり、それが植物の生育に大きく影響します。
プランター選びの基本や、おすすめのサイズ・形、素材の特徴については、「家庭菜園でのプランター栽培のメリットと選び方」の記事で詳しく解説しています。これから購入を検討している方や、どれを選べばよいか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
2.2 サトイモの栽培時期
サトイモの植え付け時期は地域によって多少異なりますが、中間地では4月初旬〜5月初旬が一般的な目安です。
プランター栽培でも基本的な時期は同じですが、植え付け前に芽出し作業を行っておくことで、発芽のムラが減り、生育が安定しやすくなります。芽出しは、植え付け予定の3〜4週間前から始めるのが理想です。
サトイモは植え付けから収穫までに約6ヶ月程度の期間を要しますが、管理が比較的楽で、時間をかけてじっくりと育てる楽しさがあります。
2.3 サトイモのプランター栽培の土づくり
プランターでのサトイモ栽培に使う土は、きちんと手入れをすれば、翌年以降も再利用できます。はじめてプランター栽培を行う方には、園芸店などで販売されている野菜用の培養土を使うのがおすすめです。
一度使った土を再利用する場合は、まず古い根や作物の残渣をしっかり取り除くことから始めましょう。その後、土壌改良用の再生材(リサイクル材)を加えることで、通気性や保水性、栄養バランスを整えることができます。
土のリサイクル方法については、「しま農研流・再生材を使った土のリサイクル手順」の記事で詳しく解説していますので、興味のある方はぜひご覧ください。
3.プランターでのサトイモの栽培方法
この章では、しま農研の実践にもとづき、サトイモをプランターで育てるための手順を、芽出し・植え付け・管理・収穫まで順にご紹介していきます。
3.1 サトイモの芽出し(プランター)
サトイモはそのまま植えることも可能ですが、事前に芽出しをしておくことで発芽率が上がり、栽培のスタートをスムーズにできます。また、芽が出る株と出ない株を見分けることで、限られたプランターのスペースを無駄なく使えるというメリットもあります。
芽出し作業には少し時間がかかるため、植え付け予定日の3〜4週間前から準備するのがおすすめです。
3.1.1 サトイモの芽出しの手順

① 種イモの向きを確認
サトイモは太い部分から芽が出るため、芽出しの際は太い方を上に、細い方を下にして配置します。これを逆にしてしまうと、芽が出にくくなるので要注意です。
② 芽出し準備をする
育苗ポットやトレーに土を入れ、種イモに土をかけます。この時に種イモの頭がやや見えるくらいに覆土するのがポイントです。
③たっぷり水をあたえる
全体に水がいきわたるようにたっぷり水をあたえます。15〜30℃の暖かい場所で管理し、土が乾いたら湿らす程度に水やりをします。
🌱サトイモの芽出しの注意点

①芽出し中の環境に注意
芽出しは3月頃のまだ肌寒い時期に行うことも多いため、保温対策が重要です。ビニールや不織布をかけることで、簡易的な温室のような環境をつくることができます。
➁品種によっては芽の出方注意
通常のサトイモは太い方から芽が出ますが、「赤芽大吉」など一部の品種では先端が尖った方から芽が出ることがあります。購入した種イモの説明や写真を参考にして、向きを確認してから芽出しを行いましょう。
3.2 サトイモの植え付け(プランター)
芽出しが順調に進んだら、いよいよプランターへの植え付けです。サトイモは深く広がる根とイモを育てるため、土の深さと通気性がとても重要です。以下の手順で進めていきましょう。
3.2.1 サトイモの植え付け手順

① 植え付け前の準備
選んだ12号以上の深型プランターに、培養土をプランターの縁から10~15cm下まで入れます。
これは、後の“増し土(土寄せ)”のためのスペースを確保するためです。
② 種イモの配置と植え付け
1つのプランターに**1株(1個)**を基本とし、芽の出る方向を上に向けて配置します。覆土の目安は、芽の先端から5cm程度の土をかぶせるようにします。※深く植えには注意です。
③ たっぷりと水やりをする
植え付けが終わったら、プランター全体にたっぷりと水を与えます。その後は、土の表面が乾いたらしっかりと水やりするようにしましょう。乾燥させないことがポイントです。
3.3 サトイモの芽かき(プランター)
サトイモは、ひとつの種イモから複数の芽が出ることがあります。栽培初期に不要な芽を「芽かき」しておくことで、限られた栽培スペースの中でも栄養の分散を防ぎ、イモの肥大や品質向上につながります。

3.3.1 芽かきの方法
- 最も太くて元気な芽を1本だけ残します。
- それ以外の芽は、手でそっと抜き取るか、ハサミで根元をカットします。
⚠ 注意:無理に引き抜こうとすると、種イモごと動いてしまうことがあるので、グラつきが気になるときはハサミを使うのが安全です。
🌿 あとから出てくる芽はどうする?
芽かきをしたあとでも、新たに芽が出てくることがあります。このタイミングでの処理については、菜園家によって対応が分かれるところです。
しま農研では、株がある程度育ってから(目安は8月以降)出てくる芽は基本的にそのまま残して育てています。生育が安定していれば、特に問題なく育ちますよ。
3.4 サトイモの追肥と増し土(プランター)
プランター栽培では、限られた土の中でイモを太らせるために、追肥と「増し土」の管理がとても重要です。
サトイモは葉ばかり育つとイモが太りにくくなるため、肥料は控えめに、タイミングを見て効率よく与えることがポイントです。また、子イモは種イモの上にできてくるため、成長とともに土を追加してスペースを確保していく必要があります。
3.4.1 追肥と増し土のタイミング

回数 | タイミング(生長) | タイミング(時期) |
---|---|---|
1回目 | 草丈が10~15cm | 植え付けから約1〜1.5ヶ月後 |
2回目 | 草丈が30cm | さらに1〜1.5ヶ月後(7〜8月頃) |
※プランターの場合、土を入れすぎると水はけが悪くなるため、プランターの縁から3〜5cm下までを目安に増し土を調整してください。
3.4.2 しま農研流・プランターの増し土ポイント
- 最初の植え付け時に土をあえて少なめ(上から10〜15cm下)にしておく
- イモが成長してくる時期にあわせて2回に分けて土を追加する
💡 ポイント
追肥は「足りないときに少し補う」くらいがベスト。イモが土の上に出てきたら、それを隠すように土を追加していくと、イモが日焼けせず、形もきれいに育ちます。
3.5 サトイモの夏対策(プランター)
サトイモは熱帯アジア原産で、湿度の高い環境を好む植物です。真夏の強い日差しや乾燥には少し弱いため、プランター栽培では特に水分管理が大切です。
ベランダなどコンクリートの上に置いていると、プランター自体が高温になりやすく、土の乾きも早くなります。夏場は、水やりと乾燥対策を意識してケアしましょう。

3.5.1 サトイモの水やりと水不足のサイン
土の表面が乾いたらたっぷり水をあたえましょう。プランターは土が乾燥しやすいので特に注意が必要です。朝か夕方の涼しい時間帯がおすすめです。
アブラムシやハダニが発生した場合、葉の裏までしっかり水をかけて洗い流すと効果的です。
💡水不足のサイン:
葉がまっすぐ立たなくなったり、黄色くなる葉が目立ちはじめたら水やりの回数が不足している可能性があります。しっかり観察して水不足をふせぎましょう!
3.5.2 敷きわら(マルチ)の活用
真夏は乾燥対策として敷きわら(またはトウモロコシの葉や草マルチ)を活用するのがおすすめです。
メリット:根元の湿度を保つことで、水持ちがよくなり、根とイモの成長が安定します。
タイミング:梅雨明け〜夏本番に入る頃がベストです。遅くとも真夏に入る前におこないましょう
🌿 しま農研の工夫:
収穫の終わったトウモロコシの葉を乾かして再利用することも可能です。自然素材で通気性も確保できておすすめです。
3.5.3 半日陰の場所に移動
プランターは地植えと違い移動させることが可能です。真夏の強い日射しが続くさいは軒下や家影などの半日陰スペースに移動するのもよい選択です。
🌿 半日陰とは:
1日のうち2~4時間程度、直射日光が当たる場所(朝に日が入る場所が野菜的にはおすすめ)または木漏れ日のような明るさがある場所
3.6 サトイモの収穫(プランター)
プランターで育てたサトイモの収穫は、10月中旬頃からが目安です。気温が下がってきて葉が黄色くなり始めたら、収穫のサイン。寒さに弱いサトイモは霜が降りる前までに収穫を済ませておくのが大切です。
3.6.1 サトイモの収穫方法(プランター)

さといもの基本的な収穫方法は下記になります。よく晴れて土が乾いている方が作業しやすいです。
- まずはプランターのまわりの土をほぐすように、手やスコップで丁寧に作業を始めましょう。
- 茎を10cmほど残して、茎を持ちながら軽く揺らすようにして引き抜いていきます。
- 根やイモがちぎれないように、無理に力を入れず、ゆっくりと引き抜くのがコツです。
👉他にもこんな方法も:
しま農研では、ブルーシートの上にプランターの土をすべてひっくり返し、その中から手でサトイモを探し出す方法も採用しています。
この方法は、イモを傷つけにくく、見落としも防げるため、プランター栽培ならではのおすすめの収穫スタイルです。
3.7 サトイモの害虫対策(プランター)
サトイモは比較的病害虫に強い野菜ですが、プランター栽培では密植ぎみになったり、風通しが悪くなったりすることで、思わぬ害虫の被害を受けることもあります。
※この章は虫の画像もありますので苦手な方は注意してください。
3.7.1 ハスモンヨトウ(葉を食害する幼虫)
葉に小さな穴や斑点が見られる場合は、ハスモンヨトウの幼虫が原因かもしれません。この害虫は夜に活動しやすく、葉の裏側やプランターの縁近くに潜んでいます。特に葉が大きく繁るサトイモでは、葉裏のチェックが発見のカギです。
早期の除去がポイントです。まだ被害が少ないうちに見つけ次第取りのぞき、大量に発生している場合は葉ごと刈り取ることで被害の拡大を防ぎましょう。
症状のサイン | 原因・特徴 | 対策方法 |
---|---|---|
葉に小さな穴や斑点がある | 幼虫が葉裏に潜み始めている初期症状 | 幼虫を見つけ次第、ピンセットや手で取り除く |
葉が透けたように白くなる | 食害が進行して葉の細胞が損傷している状態 | 被害のある葉をカットして適切に処分する |
葉がまばらにスカスカになる | 被害が広がり光合成効率が低下しているサイン | 株全体の健康を守るため、早めに対処することが重要 |
※虫の写真が表示されます

4.しま農研のプランターでのサトイモ栽培:実践編
しま農研では、プランターによるサトイモの栽培を実際に行いながら、さまざまな工夫や発見、問題点の洗い出しと改善の取り組みを進めています。
この章では、現場での気づきやリアルな栽培の様子を共有することで、ショウガ栽培に挑戦する方々へのヒントや参考になればと思っています。
4.1 サトイモのプランター栽培のリアルタイム観察記録
今年は、プランターでのサトイモ栽培に初めて本格的に挑戦しています。使用するのは、大型の不織布プランター。地植えと比べて限られたスペースの中で、どこまでしっかり育てられるかを検証していきます。
特に注目しているのは、葉の展開の広がりや水やりの頻度、土の乾き具合など。トトロの葉のような大きな葉がどこまで展開するかも、見どころのひとつです。
👉 気になる方は、
【2025年版】しま農研のサトイモのプランター栽培リアルタイム観察記録
をぜひご覧ください!
5.まとめ
この記事では、「プランターでのサトイモの栽培方法」について、芽出しから植え付け、管理、収穫まで、しま農研の実践をもとに丁寧に解説してきました。
サトイモは、見た目のインパクトも大きく、トトロの傘のような葉が広がる姿は、家庭菜園に彩りと楽しさを与えてくれます。さらに、意外と手間がかからず、日陰でも育てやすいのも魅力のひとつです。
🍀 栽培のポイントをおさらいすると…
- 芽出しで発芽率アップ&スタートをスムーズに
- 深型のプランター+増し土でイモの成長スペースを確保
- 追肥は控えめに、タイミング重視!
- 水切れ対策&敷きわらで夏を乗り越える
- 収穫は霜が降りる前に、やさしく引き抜くのがコツ
葉の広がりや成長の変化を間近で感じながら、最後には食卓でその味を楽しめる——そんな二重の喜びを味わえるのが、サトイモのプランター栽培の魅力です。ぜひ、あなたのベランダや庭の一角で、“トトロの葉”のようなサトイモを育ててみませんか?
また、しま農研では、他にもさまざまな野菜の育て方を50音順や科ごとにまとめたガイド記事もご用意しています。興味のある野菜があれば、ぜひこちらもご活用ください。
読んでいただきありがとうございました!
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