ナスやピーマンを育ている時、ガーデンスペースに少しの隙間があると、なんとなくもったいない気がしませんか?その空いたスペースを賢く活用し、豊かな収穫を目指すのが、混植栽培の醍醐味です。
本記事では、効率的なスペース活用の鍵となるつるなしインゲンの栽培法をご紹介します。ナスやピーマンとの混植で相乗効果を期待できるコンパニオンプランツとしてのつるなしインゲン、さらには、実際にしま農研が試みた栽培レポートも共有します。これからつるなしインゲンを始めようという方は、ぜひこの情報を参考にしてみてください。
つるなしインゲンは、土壌を改善し、手間をほとんどかけずに育てられるため、初心者の方にもおすすめです。ナスやピーマン、ゴーヤなどの夏の定番野菜と組み合わせると、あなたの家庭菜園はより一層充実したものになることでしょう。
つるなしインゲンは育てるのも簡単で1株からたくさん実がなり栽培が楽しい野菜です。スペースの有効活用としてもおすすめ!
1.つるなしインゲンとは
インゲンマメはメキシコなど中央アメリカ、南米アンデスが原産地とされています。コロンブスのアメリカ大陸発見時アメリカ全土に広がったとされています。
つるなしインゲンは、つるありインゲンに比べて収穫量が少ないかもしれませんが、背丈があまり大きくならず管理がしやすいのが特徴です。このため、スペースを有効に活用したい混植栽培などに特に適しています。
和名/英語 | インゲン/green beans |
原産地 | 中央アメリカ |
分類 | マメ科インゲン属 |
発芽適温 | 20~30℃ |
育成適温 | 23~28℃ |
株間 | 30cm |
畝幅 | 60cm |
土壌酸度 | pH6~6.5 |
収穫まで | 約2ヶ月 |
2.コンパニオンプランツとしても優秀なつるなしインゲン
つるなしインゲンを含むマメ科植物は、その根系に共生する根粒菌によって土壌を豊かにする特性を持っています。エダマメなど他のマメ科植物と比べて、水分要求が少ないため、水を多く必要とする野菜との混植にも適しています。早い成長期間を持つつるなしインゲンは、収穫が終わるころには他の野菜が成長しており、日照を遮ることなく共存できます。
しかし、つるなしインゲンはセンチュウ被害に遭いやすい傾向があります。センチュウの問題が懸念される場合は、落花生や枝豆への切り替えを検討すると良いでしょう。
コンパニオンプランツに関する基礎知識や、混植栽培における様々な効果、そして具体的な植付け方法についての詳細は、当サイトの別の記事で解説しています。混植栽培に興味がある方は、是非とも参照してみてください。
2.1 つるなしインゲンと相性のいい野菜
つるなしインゲンとの相性が良いとされる野菜には、さつまいも、ゴーヤ、ナス、ピーマン、オクラ、トウモロコシなどが挙げられます。これらの野菜との混植により、土壌の栄養バランスを保つと共に、病害虫からの互いの保護にも効果が期待できます。
2.1.1 つるなしインゲンとピーマン、パプリカとの混植例
ピーマンやパプリカとつるなしインゲンは、互いに成長を促す素晴らしい組み合わせです。前項で述べたマメ科の利点に加え、ピーマンやパプリカの生育期間とつるなしインゲンの収穫期が重なり、収穫後の植物残渣を敷きわらとして利用することが可能です。
しま農研では、今年つるなしインゲンとピーマンの混植栽培に挑戦し、その経験に基づいた栽培レポートを公開予定です。記事の更新はこのサイトでお知らせしますので、ピーマンとの混植をお考えの方は、情報が更新され次第、是非参照してみてください。
3.つるなしインゲンの栽培方法
3.1 つるなしインゲンの栽培計画
つるなしインゲンは成長が早く種まきから2ヶ月くらいで収穫することができます。種まきは5月から6月が適期とされております。しま農研の環境化で育ててた時は比較的暖かくなった6月くらいの方が発芽率は高かったです。また、異なる時期に種まきを行うことで、収穫期を分散させることも一つの効果的な手法です。
3.1.1 つるなしインゲンの地植え栽培カレンダー
しま農研でのつるなしインゲンの栽培経験を基に、月別の具体的な作業と成長の様子をカレンダー形式でまとめました。このカレンダーを参照することで、つるなしインゲンの成長の進行や、それに伴うケアのタイミングを具体的にイメージすることができます。
栽培を始める前に、このカレンダーを用いて予習することは、成功への第一歩となります。なお、このカレンダーに記載されているデータはしま農研での実際の結果をもとにしています。あなたの環境や条件下での栽培時には参考程度にご利用ください。
3.1.2 つるなしインゲン栽培の土づくり
土作りは栽培成功の基盤を築くために、きゅうりを含む多くの野菜にとって必要不可欠なステップです。特に晩冬、春からはじめる土づくりは期間をかけてじっくりとおこなうことがおすすめです。遅くとも定植予定日の1ヶ月前には準備にとりかかりましょう。
土作りは、雑草の除去から始め、土壌改良、酸度調整、元肥の施用といったステップに分けておこないます。これらの手順については別の記事に詳しくまとめています。土づくりのさいはぜひこちらの記事を参考にしてください
3.2 つるなしインゲンの種まき方法
3.2.1 2cmの穴を掘り種をまく
種まき用に深さ2cm程度の穴を掘ります。株間は25~30cmを目安にして、隣り合う植物間に十分なスペースを確保します。
準備した穴に種を3粒まきます。等間隔にまくことで、後で間引き作業を行ったときに株間のバランスを取りやすくなります。
3.3.2 土を鎮圧し水をたっぷり与える
種に土をかぶせます。この際、手のひらで土をしっかりと鎮圧して、種と土が密着するようにします。最後に水をたっぷり与えます。水やりは種がしっかりと水分を吸収し、発芽に必要な条件を整えるために重要です。
種まき後、芽が出るまでは鳥による被害が心配な場合、不織布などで覆うと良いでしょう。これにより、鳥が種を突いたりするのを防ぎます。
3.3 つるなしインゲンの間引き
3.3.1 元気な2株残して間引いていく
つるなしインゲンが発芽し、本葉が2枚程度に成長したら間引きのタイミングです。本葉は最初の芽生えの葉(子葉)より後に出てくる、野菜本来の形をした葉のことです。
もっとも元気で成長が良好な2株を選びます。残りの弱い苗や、密集している苗を取り除きます。
芽がでなかったところ等は間引いた芽を移植してもよいでしょう。移植後はたっぷり水をあたえます。
3.4 つるなしインゲンの追肥
3.4.1 追肥は花が咲きだした頃に1度
つるなしインゲンはこまめな追肥を必要としません。
過剰な肥料はツルボケ(植物が茎や葉にばかり生長し、実をつけない状態)を引き起こす可能性があります。そのため、花が咲き始めて実をつける頃に一度だけ追肥を行います。追肥後は、水をたっぷりと与えることが重要です。
3.5 つるなしインゲンの収穫
3.5.1 花が咲きだして2週間位で収穫
つるなしインゲンの収穫は、花が咲き始めてから約2週間後に始まります。種をまいてから約60日が経過すると収穫の適期になることが多いです。収穫可能な期間はおおよそ10日間程度と短いため、このタイミングを見逃さないようにしましょう。
実を収穫する際は、ツルとさやの部分をハサミまたは手で一つ一つ慎重に切り取ります。
3.6 つるなしインゲンの種とり
つるなしインゲンから種を採取することで、次の栽培シーズンに向けての種が確保できます。以下のステップで種とりを行いましょう。
3.6.1 鞘が茶色になったら種とりをする
種取りの適切なタイミングは、さやが完全に成熟し、外側の鞘が茶色く変色した時です。これは、通常、収穫可能な状態になってからさらに2週間ほど経過した頃合いになります。
種を取り出した後、種を完全に乾燥させる必要があります。種は乾燥させてから、直射日光の当たらない涼しい場所に保管してください。
3.7 収穫後はマルチにして再利用
収穫が終わったつるなしインゲンの茎や葉は、有効に再利用することができます。
収穫後、つるなしインゲンは株元で刈り取ります。刈り取った茎や葉をピーマンなど他の植物の株元に置くことで、敷きわらマルチとして再利用します。
敷きわらマルチにすることで、土壌の乾燥を防ぎ、泥はねを軽減することができます。また、これは病気の予防にも役立ちます。
4.つるなしインゲンの地植え栽培記録
3.2 つるなしインゲンの地植え栽培レポート
しま農研ではつるなしインゲンの地植え栽培の過程を実際に観察し、「栽培レポート」として詳細にまとめています。このレポートには、月ごとの成長記録や日常のケアの様子が含まれています。これにより、あなたの栽培の参考や目安としての活用ができるようにしています。
家庭菜園には多くの疑問や課題が存在します。そのため、しま農研はこれらの疑問や課題に対して実際の検証や考察を行っております。つるなしインゲンの5月播種と6月播種での発芽率の検証など失敗した実例を含む多岐にわたるテーマについてレポートしています。
つるなしインゲンの地植え栽培に関するさらなる疑問や課題がある方は、ぜひこちらのレポートも参考にしてください。
5.まとめ
この記事を通して、つるなしインゲンの地植え栽培について幅広く解説しました。土づくりの基本から、混植に適した野菜の選定、栽培計画の立案、実際の栽培方法に至るまで、多方面からのアプローチを試みました。実際にしま農研で育てたつるなしインゲンの生育報告を交えることで、理論と実践の両面からの情報を提供しています。
混植栽培では、相性の良い野菜との組み合わせを探ることが一つの楽しみです。つるなしインゲンの栽培においても、適したパートナーを見つけることで、より豊かな収穫を期待できるでしょう。単独栽培でもそのプロセスと結果に喜びを見出すことができます。
なお、しま農研では多種多様な野菜の栽培ガイドを提供しており、これらは50音順に整理されています。どの野菜を栽培しようと決めているかにかかわらず、必要な情報が手軽に見つかりますので、ぜひお役立てください。
読んでいただきありがとうございました。
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