ピーマンとパプリカの地植えでの育て方:多収のコツと支柱立ての重要性

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野菜の育て方

夏野菜の中でも特に人気のあるピーマンとパプリカは、比較的病害虫に強く、家庭菜園での栽培に適しています。多くの収穫を得るコツは、初期生育期に隠されています。この初期段階をうまく乗り越えれば、手間をあまりかけずとも豊富な収穫が期待できます。新鮮なピーマンは生で食べても美味しく、また、栽培後期には完熟ピーマンとしての楽しみ方もおすすめです。

本記事では、ピーマンやパプリカの地植えによる栽培、定植から収穫に至るまでのプロセスを詳細にまとめています。特に、しま農研では過去に支柱立てが不十分だったために枝が折れるという経験をしました。このような経験を踏まえ、支柱立ての重要性についても深掘りしています。

今年、ピーマンやパプリカの栽培を考えている方にとって、この記事が有益な情報源となり、成功への一助となれば幸いです。

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1.ピーマンとパプリカについて

ピーマンとパプリカは、どちらもナス科トウガラシ属に属し、トウガラシを原種とする品種改良により食べやすさを追求した野菜です。

収穫のタイミングには違いがあり、ピーマンは未熟果として、パプリカは完熟果として収穫されます。しかし、栽培方法自体は非常に似ており、トウガラシを原種とすることから、両者とも病害虫に比較的強く、育てやすい性質を持っています。

和名/英語ピーマン/green pepper
原産地アメリカ
分類ナス科トウガラシ属
発芽適温25~30℃
育成適温23~30℃
株間45~50cm
畝幅60cm
土壌酸度pH6~6.5
収穫まで約1ヶ月

2.ピーマンとパプリカの栽培計画と準備

ピーマンやパプリカを栽培する場合、計画的に準備を行うことが成功への鍵です。この章では、ピーマンやパプリカの栽培計画と準備について具体的に解説します。

2.1 ピーマンとパプリカの栽培時期

ピーマンやパプリカを定植する最適な時期は、地域によって異なりますが、多くの中間地域では4月から5月が一般的です。理想的な生長温度は23℃から30℃の範囲にあります。

しま農研では、長年のピーマン栽培経験をもとに、月別の作業内容と植物の成長の様子をカレンダー形式でまとめています。このカレンダーを参照することで、ピーマンやパプリカの成長プロセスや適切なケアのタイミングについて、具体的に理解することが可能です。

ただし、ここに記載されているデータはしま農研における実際の栽培結果に基づいています。ご自身の栽培環境や条件に合わせて、これらの情報を参考にしてください。

2.2 ピーマン、パプリカの栽培スペース

ピーマンやパプリカは、それぞれが健康に成長するために適切な栽培スペースの確保が非常に重要です。これらの植物は大きく成長するため、十分なスペースを確保することで、株同士が競合することなく、充分な光と栄養を得られるようにします。

一般的な栽培では、畝幅(横幅)は60cm、株間(縦幅)は45~50cm以上を確保することが推奨されます。これにより、ピーマンやパプリカの成長に必要なスペースが保証され、植物の健康な成長を促進します。

7月ころのピーマンの様子広めにスペースを採るとさらに大きく生長します

2.3 ピーマン、パプリカの苗の選び方

良質な苗の選択は、健康的な成長と豊富な収穫の基盤となります。適切な苗を選ぶことにより、栽培プロセスがスムーズに進行し、病害虫のリスクも軽減されます。良い苗を選ぶ際の主なポイントを一覧表にまとめました。

選び方のポイント詳細説明
一番花の存在一番花が咲いているか蕾があるもの。10cmより上にあるもの
本葉の健康状態大きく元気で、病気や害虫被害がない苗
茎の太さと節間の長さ節間が長い徒長気味の苗はさける。節間は3~5cmが目安
背丈が20cm以下大きく育ちすぎているのは植え傷めのリスクあり

2.4 ピーマンとパプリカ栽培の土づくり

土作りは栽培成功の基盤を築くために、ピーマンとパプリカを含む多くの野菜にとって必要不可欠なステップです。特に晩冬、春からはじめる土づくりは期間をかけてじっくりとおこなうことがおすすめです。遅くとも定植予定日の1ヶ月前には準備にとりかかりましょう。

土作りは、雑草の除去から始め、土壌改良、酸度調整、元肥の施用といったステップに分けておこないます。これらの手順については別の記事に詳しくまとめています。土づくりのさいはぜひこちらの記事を参考にしてください。

3.ピーマン、パプリカの育て方

この章では、ピーマン、パプリカの具体的な育て方を定植から、初期成育、支柱の立て方から収穫までを詳しく解説していきます。

3.1 ピーマン、パプリカの定植

ピーマン、パプリカの定植における水やりのポイントは、根の活着を促進し、苗の健康的な成長を支えることにあります。以下に、ピーマン、パプリカの定植時の水やりの具体的な手順を説明します。

定植のポイント

植え付け前のポット、植え付け用の穴、定植後の株のまわりの3回水を与え根の活着を促進する

1.ポットへの水やり

定植の1~2時間前には、ポットにたっぷりと水を与えます。

これにより、土が十分に湿り、苗が移植時のショックを最小限に抑えられるようになります。

定植の1,2時間前に水をあたえておきます。

2.植え穴への水やり

植え穴を掘った後、その穴にも水を与えます。このステップは、土に十分な水分を確保し、苗が新しい環境にスムーズに適応できるようにするために重要です。

植え穴の深さは、ポットの高さに合わせて調整します。これにより、定植作業が容易になります。

深さを合わして水を入れてあげます。

3.定植後の水やり

覆土をした後、再度たっぷりと水を与えます。この水やりは、土と根が密接に接触することを促し、根の活着を助けます。

苗をポットから取り出す際は、根を傷つけないように慎重に行いましょう。定植後は、苗が強風で倒れないように仮支柱を立て、麻紐などで誘引することが推奨されます。

水をたっぷりあげて支柱をたてます。

3.2 ピーマン、パプリカ初期生育のコツ

初期生育期における適切なケアは、ピーマンやパプリカの健康な成長と豊富な収穫に不可欠です。この初期段階をうまく乗り越えれば、手間をあまりかけずとも豊富な収穫が期待できます。ここでは、わき芽のかき取りと摘果の重要性について解説します。

初期成育のポイント

栽培初期は苗の生長を優先しておくと、多収の期待率があがります。

3.2.1 わき芽のかき取り

目的: 株全体の生育を促進し、養分の分散を避けるために、初期段階でわき芽をかき取ります。

方法: 一番花が咲く部分を目安に、それより下にあるわき芽をかき取ります。しかし、3本仕立て栽培を目指す場合、選抜した1本の勢いのあるわき芽は残しておく必要があります。これにより、植物の全体的なバランスと生産性を高めることができます。

育てるわき芽以外はかき取り栄養の分散を避けます。

3.2.2 摘果

目的: 株全体の生育を促進し、養分の分散を避けるために、初期段階でわき芽をかき取ります。

方法: 一番花が咲く部分を目安に、それより下にあるわき芽をかき取ります。しかし、3本仕立て栽培を目指す場合、選抜した2本の勢いのあるわき芽は残しておく必要があります。これにより、植物の全体的なバランスと生産性を高めることができます。

一番果は株の生長を優先するため摘果するのがおすすめ。

3.3 ピーマン、パプリカの支柱の仕立て方

ピーマンやパプリカの栽培において、支柱は苗を強風などの外的要因から守るだけでなく、実の重さを支える重要な役割を果たします。特に、果実が多くなるにつれてその重要性は高まります。

しま農研の経験に基づくと、初期に支柱を立てることは重要ですが、株が成長するにつれて追加の支柱を設置することも同様に大切です。過去には支柱立てが不十分で枝が折れる事態に直面したこともあります。このため、適切な支柱立ては、栽培の成功において欠かせない要素の一つです。

3.3.1 3本仕立ての手順

3本仕立ては、その安定感と拡張の容易さから、ピーマン栽培において特に推奨される支柱の仕立て方です。以下に手順を解説していきます。

1.支柱の準備

ピーマンは通常、70〜80cmの高さまで成長します。この成長を支えるため、1m程度の長さの支柱を3本用意します。

主枝の成長が側枝よりも先に進む場合は、主枝用の支柱から先に立てることも適切です。

1mの支柱を3本用意します。
2 支柱の立て方と誘引

側枝が成長してきたら、それに合わせて支柱を立て、麻紐などを使用して誘引します。支柱がピラミッド型にならなくても問題ありません。構造が不安定な場合は、交差する部分を麻紐で結んで強度を高めます。

伸ばしていた側枝が伸びてきたら枝に合わせて支柱を立てて麻紐等で誘因します。

育てたい枝に沿うイメージで支柱を立てていきます。

3.3.2 成長後の誘引と支柱拡張

ピーマンやパプリカが健康に成長してくると、その重量を支えるための追加の支柱や誘引が必要になります。成長後の誘引と支柱の拡張が重要な理由と方法を以下に詳述します。

拡張が重要な理由

重量分散
成長に伴い、果実が多く実ると、その重さによって枝が折れやすくなります。適切に支柱を追加し、果実の重さを分散させることで、植物の健康を維持し、収穫量を最大化することができます

風や天候からの保護
強風や悪天候は、特に成長した植物にとって大きなリスクとなります。追加の支柱や誘引を施すことで、植物を物理的に支え、外的要因から守ることが可能です。

病気と害虫の管理
支柱を使用して植物を適切に誘引することで、通風と日照条件を改善し、病気や害虫のリスクを低減します。健康な空間を維持することが、長期的な生産性に寄与します。

収穫の容易化
支柱による適切な誘引は、果実が見えやすくなり、収穫作業を容易にします。また、果実が地面に触れることを防ぎ、品質の維持にも役立ちます。

支柱の拡張方法

・枝や果実の成長に応じて、追加の支柱を植物の周囲に配置します。

・既存の支柱と新しい支柱を麻紐や特殊な誘引クリップで結び付け、安定性を高めます。

・枝が十分に支えられるように、誘引のポイントを定期的に調整します。

右の写真はしま農研で育てた栽培後期のピーマンです。こちらは7本の支柱で支えています。計画的に支柱を追加し、植物を適切に管理することで、栽培の成功に大きく貢献します。

強風があると枝が折れてしまうこともあります。
支柱拡張と同時に誘引作業も重要です。
大きく育ったピーマンは最終7本の支柱で支えました

3.4 ピーマンとパプリカの収穫

ピーマンとパプリカは栽培方法が似ているものの、収穫時期と方法に違いがあります。また、ピーマンの場合は未熟果だけでなく、完熟した実を楽しむのも一つの選択肢です。ここでは、それぞれの野菜の収穫タイミングと方法について説明します。

3.4.1 ピーマンの早期収穫

ピーマンは、未熟なうちに収穫することが一般的です。早期収穫は、豊富な収穫を促すコツの一つとされています。

品種によって大きさは異なりますが、一般的には6~7cm程度で収穫します。株の成長を促進させるために、初期にはやや小さめの実でも収穫を行います。

生育初期は特にはやめの収穫がおすすめ。どんどん収穫しましょう。

3.4.2 完熟ピーマンの楽しみ方

ピーマンは1株から多くの実を収穫できるため、一部を完熟させて異なる風味を楽しむことが可能です。株がしっかり育った栽培後期にチャレンジすることがおすすめです

完熟ピーマンは、未熟な実をそのまま放置し、徐々に赤くなるのを待ちます。実が真っ赤になった時が、完熟ピーマンの最適な収穫タイミングです。

完熟ピーマンは味もいいし綺麗なのでおすすめです

3.4.3 パプリカの収穫タイミング

パプリカは、未熟果の状態でも食べられますが、株の成長を促進させたい場合は早期に収穫することが推奨されます。

株が十分に成長した後は、実を完熟させて収穫します。完熟までの期間は約40~50日程度と長く、この間に害虫被害に遭うこともあります。そのため、排水溝ネットなどを使用した防虫対策を行うことで、収穫成功率を高めることができます。

少し時間がかかりますが、色づいた時の喜びはパプリカならではです

3.5 ピーマンとパプリカの水やり

地植えの場合は、水やりはプランターほど必要ありませんが、ピーマンやパプリカは他のナス科の野菜と比べると根が浅く、乾燥に弱い野菜です。

土が乾いてきたらたっぷり水を与えます。真夏の暑く雨が少ない時は特に注意が必要のためしっかり観察しましょう。

同時に過湿にも弱く根腐れをおこしてしまうので土が乾燥していない時は水やりの必要はありません。天候にもよりますが、秋などはあまり水やりをせずとも順調に育ちます。

夏は注意。秋からはそれほど気にしなくてもわりと育ちます。

3.6 ピーマンとパプリカの追肥

ピーマンとパプリカの追肥は、実がつき始めたタイミングで最初に行い、その後は2~3週間ごとに続けます。肥料の種類によって適量が異なるため、使用する肥料の指示に従って施します。

追肥の必要性を示すサインには、雄しべが雌しべより短い状態や、花が咲いてもすぐに落ちてしまう現象があります。これは肥料切れを示しています。一方で、葉の色が濃く、花がつかずに葉が茂る場合は、肥料過多の可能性があります。適切な追肥は、健康的な成長と豊富な収穫への鍵となります。

ピーマンの追肥は定期的にするのがコツ。あげすぎには注意です。

追肥の詳しい手法や考え方については、こちらの記事でより詳しく解説しています。しま農研としても、このジャンルに関しては現在も研究を続けております。知識を深めたい方は、ぜひ当記事を参考にしてください。

3.7 ピーマンとパプリカの整枝

ピーマンやパプリカは花が咲くと枝が2股に分かれ、成長していきます。

基本的には自然な成長を促すため放置しても問題ありませんが、枝が増えすぎると葉が密集し、光合成が阻害される可能性があります。そのため、内側に向かって伸びる枝や細い枝を適宜剪定すると、植物の健康な成長をサポートします。

光合成ができるようにイメージして剪定していくのがコツです。

3.8 ピーマンとパプリカの害虫対策

ピーマンやパプリカは特に9月と10月に、タバコガの幼虫によって直径約5mmの穴が開けられる害虫被害に遭遇することがあります。

これらの害虫による被害が見られた場合、被害を受けた実は、さらなる被害の拡大を防ぐために速やかに撤去します。

予防措置として、薬剤の散布が考えられます。また、さらに、タバコガの成虫は赤色を好み、黄色を嫌うため、マリーゴールドのような植物を植えることも効果的な防虫策の一つとされています。

ある程度は被害はしょおがないかもしれません。。。

4.ピーマンの混植栽培

つるなしインゲンとピーマンは相性抜群!

コンパニオンプランツを活用した混植栽培は、限られたスペースを最大限に活用し、病害虫のリスクを減らすと同時に、野菜の生育を助ける効果が期待できます。また、多種多様の野菜を収穫することができるため家庭菜園でたくさんの野菜を楽しむことができるので家庭菜園にはおすすめの栽培方法です。

ピーマンは相性のいい野菜も多く、春にはつるなしインゲン、ニラ、ナスタチウム、マリーゴールドなどと混植することもおすすめです。また、秋にはつるなしインゲンの後作としてハクサイなどをリレー栽培もできます。

ピーマンとこれらの野菜との相性やそれぞれの効果についての詳細は、こちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

5.ピーマン、パプリカの栽培レポート

しま農研ではピーマンとパプリカ、ぼたんこしょうの地植え栽培の過程を実際に観察し、「栽培レポート」として詳細にまとめています。このレポートには、月ごとの成長記録や日常のケアの様子が含まれています。これにより、あなたの栽培の参考や目安としての活用ができるようにしています。

家庭菜園を営む上で遭遇するさまざまな疑問や課題に対応するため、しま農研は具体的な検証と考察を実施しています。これには、品種ごとの成長差異や、強風によって折れてしまった枝の対処法など、成功例だけでなく失敗例も含めた幅広いトピックが含まれています。

この栽培レポートは、家庭菜園に挑戦するすべての人にとって、貴重な学びとインスピレーションの源となることを心より願っています。

6.まとめ

この記事では、ピーマンとパプリカの栽培に関する重要な側面を網羅しました。栽培計画と準備から始まり、土作り、栽培スペースの確保、苗の選び方、定植の手順、初期生育のコツ、支柱の仕立て方、水やり、追肥、害虫対策、そして収穫まで、ピーマンとパプリカを成功裏に栽培するためのステップバイステップのアドバイスを提供しました。

また、コンパニオンプランツを活用した混植栽培の利点や、しま農研による実際の栽培レポートなどを共有していきました。この記事が、あなたの家庭菜園におけるピーマンとパプリカの栽培をより楽しく、そしてより成功させるための一助となることを願っています。

また、しま農研では多様な野菜の栽培方法を紹介しており、それらの記事は50音順で整理しています。どの野菜に興味を持っているかに関わらず、必要な情報を簡単に探すことができます。ぜひとも、これらの情報を参考にしてみてください。

読んでいただきありがとうございました。

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