こんにちは!しま農研です。しま農研では、毎年30種類以上の野菜を庭で育てており、家庭菜園の楽しさを日々実感しています。
今回の記事では、トウモロコシの地植え栽培法を詳しくご紹介します。採れたてのトウモロコシは甘みが強く、その格別の味わいは市販のものでは味わうことができません。また、トウモロコシにはさまざまな品種があり、家庭菜園ならではの独特の風味を楽しむことが可能です。
トウモロコシはイネ科に属することもポイントです。野菜栽培では同じ科を同じ場所に植え続けると連作障害がおこりやすいため、対策として輪作をおこなうことが一般的です。夏野菜として人気の高いナス科やウリ科とは異なり、イネ科は種類が少なく、トウモロコシは特に代表的な選択肢の一つです。
ぜひこの記事を参考に、トウモロコシ栽培に挑戦してみてください。しま農研と共に、トウモロコシ栽培の技術を磨いていきましょう!

トウモロコシの育つ姿は迫力があります!早めに収穫が終わるため秋冬野菜の準備に余裕が持てるのもよいところです。
1.トウモロコシについて
栽培を始める前に、トウモロコシの原産地や特性について少し学んでみましょう。この知識は、栽培への理解を深め、家庭菜園をより楽しむ助けになります。
トウモロコシはイネ科の一年草で、原産地はメキシコの乾燥した山麓地帯です。ここで自然に育ったトウモロコシは小さな集団を形成し、限られた栄養資源の中で育っています。このため、トウモロコシは栄養吸収能力が非常に高く進化しました。これにより、肥料が少ない土地でもしっかりと成長することができます。
トウモロコシは本来集団の中で自然に授粉されるため、密植することで受粉率を高められます。しかし、植える株数が少ない場合は人工的な授粉が必要になることがあります。これらの点を理解し、適切な栽培管理を行うことが重要です。
和名 | トウモロコシ |
原産地 | メキシコ山麓 |
分類 | イネ科トウモロコシ属 |
発芽適温 | 25~30℃ |
育成適温 | 20~28℃ |
株間 | 30cm |
畝幅 | 80cm |
土壌酸度 | pH6~6.5 |
収穫まで | 2ヶ月半~3ヶ月 |
1.1 トウモロコシの品種
トウモロコシには、スイートコーン、ポップコーン、フリントコーン、デントコーンなど、多数の品種が存在します。
それぞれ特有の特徴を持ち、料理や用途に応じて選ばれます。特にスイートコーンは、甘みが強く生で食べられることから、家庭菜園や市場での人気が高い品種です。
2.トウモロコシの地植えでの栽培計画と準備
トウモロコシを栽培する場合、計画的に準備を行うことが成功への鍵です。この章では、トウモロコシの地植えでの栽培計画と準備について具体的に解説します。
2.1 トウモロコシの地植えでの栽培時期
トウモロコシを播種する時期は、地域によって異なりますが、多くの中間地域では4月中旬から5月初旬が一般的です。理想的な生長温度は20℃から28℃の範囲にあります。また、3月初旬頃から早植えすることで、トウモロコシの天敵であるアワノメイガが活発に活動する前に収穫する方法もあります。
トウモロコシは、成長が早く、手間がかからずに栽培できる点が魅力です。夏の暑い時期に成長し、家庭菜園では、種まきから約3ヶ月で収穫することができます。
2.2.1 しま農研でのトウモロコシの地植え栽培カレンダー
しま農研では、実際に育てたトウモロコシ栽培をもとに、月別の作業内容と植物の成長の様子をカレンダー形式でまとめています。このカレンダーを参照することで、トウモロコシの成長プロセスや適切なケアのタイミングについて、具体的に理解することが可能です。り詳しい情報を求める場合は、「しま農研の地植えでのトウモロコシの栽培レポート」の記事も参照してください。
ただし、ここに記載されているデータはしま農研における実際の栽培結果に基づいています。ご自身の栽培環境や条件に合わせて、これらの情報を参考にしてください。

2.2 トウモロコシの栽培スペース
トウモロコシは風による受粉を必要とするため、複数本をまとめて植えることで受粉率を高め、より良い収穫を期待できます。栽培スペースに余裕があるのであれば2条植えにしておくと受粉効率も高まります。
一般的な栽培では、畝幅(横幅)は80~1mに2条植えし、株間(縦幅)は30cm程度を確保することが推奨されます。これにより、トウモロコシの成長に必要なスペースが保証され、植物の健康な成長を促進します。

2.3 トウモロコシの土づくり
土作りは栽培成功の基盤を築くために、トウモロコシを含む多くの野菜にとって必要不可欠なステップです。特に晩冬、春からはじめる土づくりは期間をかけてじっくりとおこなうことがおすすめです。遅くとも定植予定日の1ヶ月前には準備にとりかかりましょう。
土作りは、雑草の除去から始め、土壌改良、酸度調整、元肥の施用といったステップに分けておこないます。土作りの手順については別の記事に詳しくまとめています。土づくりのさいはぜひこちらの記事を参考にしてください。また、トウモロコシの原産地は、砂漠のような痩せた土地で、動物のふんなどを養分にしています。牛ふん堆肥などが肥料としておすすめです。
3.トウモロコシの育て方
この章では、トウモロコシの具体的な育て方を播種から、追肥、害虫対策から収穫までを詳しく解説していきます。
3.1 トウモロコシのタネまき手順(地植え)
トウモロコシは苗を作って育てる方法もありますが、しま農研は直接種をまく方法で育てています。このセクションではトウモロコシの種まきの手順について解説していきます。
トウモロコシの種は尖った方を下向きで種を植える
3.1.1 種まき
トウモロコシは1か所3~4粒播いていきます。指で2~3cmほど押し込み最後に手のひらで軽くおさえます。
この際、種はの尖った方を下向きすると生育や生え揃いがよくなります。また、トウモロコシは別品種でなく、受粉不良を防ぐため同一品種で播くようにしましょう。

3.1.2 防鳥対策と水やり
鳥よけのために、種を播いた場所に不織布をひき風で飛ばないように留め具でおさえます。最後にたっぷり水をあたえれば種まき作業は終了です。
不織布をとるタイミングは本葉が伸びはじめた頃になります。

3.2 トウモロコシの間引き(地植え)
トウモロコシの間引きは2回に分けておこないます。このセクションで間引きのタイミングと方法について解説していきます。
間引きは、根を傷めないようにハサミでおこなう
3.2.1 トウモロコシの間引きのタイミングとポイント
1回目の間引き
最初の間引きのタイミングは本葉が1~2枚になったころにおこないます。このタイミングで不織布を外し1ヶ所に2本になるように間引きます。
根を傷めないように、根っこから抜くのではなく。土の土の近くでハサミを使って切るのがポイントです

2回目の間引き
2回目の間引きは草丈が20cm程度になったら間引きます。
トウモロコシは非常に肥料食いのため、間引きを遅らせると生育に悪影響が出る可能性があります。適切なタイミングでの間引きが重要です。

3.3 トウモロコシの追肥(地植え)
トウモロコシの追肥は栽培中に2回に分けておこないます。また、追肥の位置もまた重要です。トウモロコシは浅く広く根が伸びます。追肥は根の先端にあたえると養分の吸収がよくなります。このセクションではトウモロコシの追肥のタイミングとその位置について解説していきます。
トウモロコシは肥料が大好き!適切なタイミングで追肥しよう
3.3.1 トウモロコシの追肥のタイミングとポイント
1回目の追肥
間引きが終わり1本立したら最初の追肥をおこないます。
この際は約5~10cmほど離した場所で追肥するとよいでしょう。目安としては葉の端の方で追肥するとよいでしょう。

2回目の追肥
頂部に雄花が出てきたら、それが2回目の追肥のタイミングです。
この頃には根も広く張っているため20~30cmほど離れたところに追肥するとよいでしょう。さらに、土寄せを行うことで根の環境を改善し、植物の成長を促進します。

3.3.2 追肥の考え方
追肥は植物の成長を促すために重要な作業ですが、その適切な方法を身につけるには実践と経験が必要です。植物の微細な変化に敏感に反応し、観察力を磨くことで、家庭菜園の楽しみが一層深まります。
更に詳しい追肥の方法や考え方については、しま農研の提供する別の記事で詳しく解説しています。この追肥ガイドを参考にして、より効果的な肥料の使い方を学び、スイスチャードの栽培をさらに充実させてみてください。
3.4 トウモロコシの人工授粉(地植え)
トウモロコシの雌穂からでている細かい毛が1粒の実になります。風で飛んできた花粉をこの毛にからめとることで受粉します。
髭がしわしわになっていれば自然と受粉しているため下記は必要ありませんが心配な場合は人工授粉でサポートします。
少し雄穂を手で揺らしたり、切り取った雄穂を近くで揺らしてあげるとよいでしょう。

3.5 トウモロコシの害虫対策(地植え)
トウモロコシは、アワノメイガが天敵です。アワノメイガは蛾の仲間でその幼虫が茎や葉に潜り込みます。一番やっかいなのは、子実に潜り込んで食い荒らすためトウモロコシが食害にあってしまいます。
黄色いふんがあれば、必ずどこかに潜んでいまうので見つけて捕殺しましょう。また、被害を軽減する方法をいくつか紹介します。
3.5.1 雄穂を切り取る
雄花が咲くころに、アワノメイガの発生が増える時期です。
花粉があるうちはこまめにチェックし捕殺することで、下におりて雌穂に侵入されることが軽減されます。また、雄穂は花粉の飛散が終わった頃に切り取っておくとよいでしょう。

3.5.2 ストッキングや排水ネットで防除する
甘くて美味しい雌穂は特に害虫被害や鳥の被害も受けやすいため、物理的な防除も視野にいれてもよいでしょう。
具体的には受粉が終わった雌穂にストッキングや目の細かい排水ネットをかぶせることでこれらの被害を防除します。雌穂の肥大化を妨げない伸縮性の高い素材を選ぶことがポイントです。雄穂を切り取ったタイミングと同時におこなうとよいでしょう。
3.6 ヤングコーンの収穫(地植え)
1株に数本の雌穂がでてきますが、下に行くほど実入りが悪くなるトウモロコシは最終的に一番上の1本を残してそれ以外は摘果します。
ひげが伸び始めた頃につけ根から折って摘果します。この雌穂はヤングコーンとしてサラダなどにして食べることができるので、ぜひ若い穂の味も楽しんでください。

3.7 トウモロコシの収穫
トウモロコシの収穫タイミングは非常に重要で、早すぎると粒が水っぽくなり、遅すぎると硬くて甘みが失われます。粒の状態は外見からは判断できないため、正確な見分け方を知ることが不可欠です。
3.7,1 収穫のタイミング
トウモロコシは授粉後20~25日で成熟し、最適な収穫期間は2~3日といわれています。
ひげの色変化が一つの目安であり、茶色くなって先端がごわごわし、初めよりも少し抜け落ちた状態が見られる時、また雌穂が膨らみ外皮に少し茶色が見え始めたら、収穫の最適なタイミングと言えます。
収穫間近の時にはなるべく観察して最適のタイミングでの収穫にチャレンジしましょう。

3.7,2収穫の方法
収穫は、根元近くで手やハサミを使って切り取ります。収穫後は外葉をそのままにし、家に持ち帰ってから処理するのが一般的です。
しま農研では、塩ゆでがおすすめの調理法であり、薄皮を少し残して茹でることで、トウモロコシの風味が最大限に引き出されます。
収穫直後のトウモロコシは非常に美味しく、時間が経つにつれて甘みが減少するため、できるだけ早く食べることをお勧めします。

3.8 マルチとして再利用
収穫後のトウモロコシの茎葉は、天然マルチとして再利用することができます。これらを刈り取り、土の表面に敷くことで、多くのメリットを庭にもたらすことが可能です。
3.8.1 天然マルチのメリット
この自然由来のマルチ利用法は、特に乾燥する季節に土壌の水分を保持し、地温の急激な変化を防ぐのに役立ちます。これにより、地表の乾燥を効果的に防ぎながら、土壌の健康も促進されます。
さらに、トウモロコシの茎葉を敷くことで、クモやその他の益虫が住みやすい環境が作られ、これらの生物が自然に害虫を抑制する手助けをします。
この方法で、トウモロコシは生育が終了した後も庭の生態系に貴重な貢献をし続けることができます。

4.しま農研の地植えでのトウモロコシ栽培:実践編
しま農研では、トウモロコシの地植え栽培を通じて、独自の栽培試みと遭遇したトラブルへの対処法を積極的に探求しています。
この章では、実践的な栽培の詳細を共有し、あなたの自家栽培に役立つ情報を提供します。
4.1 トウモロコシとサトイモの混植栽培の観察記録
コンパニオンプランツを利用した混植栽培は、限られたスペースを最大限に活用し、病害虫のリスクを減らす一方で、野菜の生育を促進します。また、多種多様な野菜を収穫できるため、家庭菜園での多様性が増します。
この年、しま農研はトウモロコシと相性の良いサトイモとの混植栽培を試み観察を記録しました。株間の配置には若干の懸念がありますが、この方法が双方の生育にどのように影響するかを検証しています。
4.2 トウモロコシの地植え栽培レポート
「トウモロコシの地植え栽培レポート」では、実際の栽培プロセスを詳細に記録しています。このレポートには月ごとの成長記録や日々のケアの様子が含まれ、栽培の参考になる実用的な情報を提供しています。
家庭菜園を営む際に遭遇するさまざまな疑問や課題に対応するため、しま農研では具体的な検証と考察を続けています。このレポートが家庭菜園に挑戦するすべての方にとって、貴重な学びとインスピレーションの源となることを願っています。
5.しま農研の地植えでのトウモロコシ栽培:動画編
しま農研では、トウモロコシの栽培をもっと身近に感じてもらうために、ショート動画を作成しました。これまでの記事でお伝えしてきた内容を、もっと簡単で視覚的にも楽しめる形でまとめています。
トウモロコシの栽培を一から学びたい方や、記事だけではイメージしづらかった方も、この動画を見れば栽培のポイントがすぐにつかめます。動画ならではの直感的な理解を支えるために、具体的な栽培の様子を紹介しています。
6.まとめ
この記事を通じて、トウモロコシの栽培に関する包括的なガイドを提供しました。初めにトウモロコシについての基本情報を紹介し、続いて栽培計画と準備、種まきから間引き、追肥、人工授粉、害虫対策、収穫、そして収穫後の茎葉のマルチとしての再利用方法に至るまで、トウモロコシの育て方の各段階について詳しく解説しました。また、混植栽培におけるコンパニオンプランツの活用とその効果についても触れ、家庭菜園での多様な野菜栽培の可能性を探りました。
トウモロコシ栽培は、計画的な準備と適切なケアによって、家庭菜園で豊かな収穫を楽しむことができる素晴らしい活動です。この記事が、トウモロコシ栽培の初心者から経験者まで幅広く役立つことを願っています。
また、しま農研では多様な野菜の栽培方法を紹介しており、それらの記事は50音順で整理しています。どの野菜に興味を持っているかに関わらず、必要な情報を簡単に探すことができます。ぜひとも、これらの情報を参考にしてみてください。
読んでいただきありがとうございました!
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