タイ料理といえばパクチーはよく使うハーブの1つですよね。市場で購入すると少々高価ですが、家庭菜園で栽培すれば、必要な分だけを収穫し、新鮮な状態で料理に活用できます。
実は、パクチーは強い日差しを苦手とするため、適切な植付け時期と日陰対策を施せば、比較的簡単に栽培できるハーブです。種採りもマスターすれば年に2回の収穫が楽しめます。さらに、パクチーは株間が狭く、その独特な香りが虫を遠ざける効果も期待できます。
この記事では、地植えでのパクチー栽培方法を紹介しています。プランターでの栽培も可能で、基本的な育て方は大きく変わりませんので、ぜひ参考にしてみてください。
パクチーはタイ料理には欠かせないハーブですよね。しま農研も毎年育てています。少し気難しいところもありますがフレッシュなパクチーは絶品です
1.パクチーについて
原産地は地中海沿岸で、日本ではわりと新顔のパクチーですが、古くから薬草や料理として多くの国で栽培されています。古代エジプトではピラミッドの壁画にも絵が描かれており、調味料だけでなく薬草としていても使われていたそうです。
パクチーはタイ語で英語名はコリアンダーと言われていて使い分けされていますよ。パクチーは生育適温は18℃~25℃で真夏の暑さや直射日光は苦手です。半日陰でも十分育つことができるので、真夏に育てる場合は日差しや気温の対策をしてあげるとよいでしょう。
名称 | パクチー/coriander |
原産地 | 地中海沿岸 |
分類 | セリ科コエンドロ属 |
発芽適温 | 17~20℃ |
生育適温 | 18~25℃ |
株間 | 20cm |
プランター | 標準 |
pH | pH6~6.5 |
収穫まで | 約50日 |
2.パクチーを混植しよう!
家庭菜園でのスペースの有効活用には、様々な野菜の混植が有効なテクニックです。異なる種類の野菜を同じ場所に植えることで、害虫の抑制や土壌の栄養バランスを維持するといった利点があります。これらの相性の良い植物の組み合わせを「コンパニオンプランツ」と呼びます。
コンパニオンプランツについての基本知識はこちらの記事で詳しく解説していますので知識を深めたい方はご参照ください。
2.1 コンパニオンプランツとしてのパクチー
パクチーは株間が狭く、限られたスペースでも育ちやすいため、混植栽培に最適です。そのため、他の野菜と一緒に育てるコンパニオンプランツとしての活用もおすすめです。以下では、パクチーの混植時に期待される効果と相性が良い野菜について解説します
2.1.1 パクチーを混植する効果
パクチー特有の強い香りには、自然な虫除けの効果があるとされています。特にアブラムシやコナガ、ハダニなどの害虫を遠ざける作用が期待できます。
また、パクチーはスペースをそれほど必要としないため、菜園の空いた場所での栽培にも適しています。
2.1.2 パクチーと相性の良い野菜
パクチーはトマト、キャベツ、レタスなどとの相性が良いとされています。
また、きゅうりとの混植も効果的です。パクチーは半日陰でも育つことができ、夏の強い日差しを苦手とするため、きゅうりの葉が提供する日陰が成長に役立ちます。
2.2 パクチーを使った混植栽培の作付け例
混植栽培は多様な野菜やハーブを効果的に組み合わせることで、それぞれの植物の成長をサポートし、害虫や病気を自然に抑制する方法です。しま農研でのパセリを活用した混植栽培の実例を紹介します。
これらの作付け例は、混植栽培の可能性を示すもので、異なる植物間の相乗効果を活用することで、健康的で豊かな菜園を実現する手助けとなります。自分の菜園にパクチーを取り入れ、さまざまな野菜との相性を試してみることをお勧めします。
2.3.2 パクチー × きゅうり
この作付けでは、きゅうりをメインにしてエダマメをサブに14株育てました。コンパニオンプランツとして、マリーゴールド、パクチー、イタリアンパセリ、カールパセリ、チャイブ、ハツカダイコンを選定しました。
この豊かな植物の組み合わせにより、栽培の楽しさも増しきゅうりも順調な生育をみせました。きゅうりを地植えで育てる際にはぜひ参考にしてください。
3.パクチーの地植えでの栽培計画と準備
地植えでパクチーを栽培する場合、計画的に準備を行うことが成功への鍵です。この章ではパセリの栽培計画と準備について具体的に解説します。
3.1 パセリの栽培時期
パクチーの栽培に適した温度は17~20℃です。そのため、理想的な種まき時期は3月後半から4月頃になりますが、少し遅れても問題ありません。混植を考えている場合、他の野菜とのバランスを考えて、定植予定の約1ヶ月前から苗作りを開始しましょう。
パクチーは種まきから約2ヶ月で収穫可能になりますが、一度に全ての株を収穫すると収穫量が集中してしまいます。そこで、収穫期をずらすために、数週間おきに段階的に種まきをすると良いでしょう。また、パクチーは秋に種まきをしても育てることができ、夏に収穫した種を9~10月頃にまくことで、年に2回の栽培を楽しむことも可能です。
3.2 パクチーの地植え栽培スペース
地植えでパクチーを育てる際、株間は15~20cm程度を確保すると良いでしょう。これにより、各株が十分な光を受けて健全に成長することが可能になります。
パクチーは日光を好む植物ですが、半日陰の環境でも栽培することは可能です。半日陰で育てると、パクチーの葉がより柔らかくなり、食べやすい質感に育つ傾向があります。ただし、香りに関しては日光をたっぷりと浴びることでより強化されるため、栽培環境を選ぶ際は、香りの強さと葉の柔らかさのバランスを考慮に入れると良いでしょう。
3.3 パクチーの地植え栽培の土作り
土作りは栽培成功の基盤を築くために、バジルを含む多くの野菜にとって必要不可欠なステップです。特に晩冬、春からはじめる土づくりは期間をかけてじっくりとおこなうことがおすすめです。遅くとも定植予定日の1ヶ月前には準備にとりかかりましょう。
土作りは、雑草の除去から始め、土壌改良、酸度調整、元肥の施用といったステップに分けておこないます。これらの手順については別の記事に詳しくまとめています。土づくりのさいはぜひこちらの記事を参考にしてください。
4.パクチーの栽培方法
4.1 パクチーの苗作り
パクチーの栽培には、直根性の特徴から直まきが一般的です。しかし、間引きなどの手間を減らすために苗から始める方法も実践できます。このセクションでは、効率的な苗作りの手順をご紹介します。
パクチーの苗作りでは、種まきの効率を高めるために、予定している定植量よりも多めに苗を用意すると良いでしょう。余った苗はベビーリーフとして活用できます。
4.1.1 種の水浸し
パクチーの種は硬い殻を持ち、発芽率が約60%と他の種に比べやや低い傾向にあります。
これを改善するため、種まきの前日に種を一晩水に浸すと、殻が柔らかくなり発芽率が向上します。
4.1.2 セルトレイや育苗ポットへの種まき
セルトレイや育苗ポットの土を事前に湿らせた後、各セルに2粒ずつ種をまきます。
パクチーは発芽に光が必要な好光性の種子であるため、種を薄く土で覆い、鎮圧します。
4.1.3 育苗プロセス
種をまいた後、約1週間から2週間で発芽が始まります。発芽後は土が乾燥しないように、霧吹きなどを用いて水やりを行います。
本葉が3~5枚程度になるまで育苗を続け、その後定植へと進みます。
4.2 パクチーの定植
パクチーは地植えする場合、株間は10~20cm程度を目安にします。
パクチーは直根性の植物であるため、根を傷つけることなく植え付けることが肝心です。ポットから苗を取り出す際は、根鉢を崩さないように慎重に行いましょう。定植の成功の鍵は根の健康な活着にあるため、このプロセスは非常に重要です。
定植場所の土を予め湿らせておくことで、根の活着を促進できます。定植後は、苗が新しい環境に適応しやすくなるように、土がしっかりと湿るまで水やりを行ってください。
4.3 パクチーの直まきと間引き
パクチーは直まきでも栽培可能です。間引く手間はありますが、しま農研の経験ではよく育つ苗を作りやすいです。
種まき:1cm程度の深さの溝を掘り、1cm間隔で種をまきます。その後、約5mmの土で覆い、軽く鎮圧します。発芽までの期間は、土が乾燥しないように十分な水やりを行ってください。
間引き:作業は成長段階に応じて行います。最初は2~3枚の葉が展開した段階で3~4cm間隔に、次に本葉が4~5枚の時に10cm間隔に、そして本葉が7~8枚になった時点で20cm間隔に調整します。
4.4 パクチーの追肥
パクチーの栽培では、追肥のタイミングが重要です。パクチーは収穫時期が比較的短いため、元肥だけで充分に育つ場合もありますが、状態を観察しながら適宜追肥を行うことが効果的です。
4.4.1 パクチーの肥料過多と不足のサイン
パクチーの葉の色や状態は、栄養状態に関する重要な指標となります。葉が黄色くなったり、茶色くなる場合は栄養不足や病気の兆候である可能性があります。このような場合は追肥を検討しましょう。一方で、葉が黒ずんだり、白い斑点が現れた場合は、肥料過多のサインです。この場合、肥料の与え過ぎに注意が必要です。
追肥の具体的な方法や考え方については、別の記事で詳しく解説しています。追肥をする際の目安としては、2~3週間に1度程度が一般的ですが、植物の成長状態と土壌の状況に合わせて調整しましょう。より深い知識を求める方は、是非追肥に関する記事を参考にしてください。
4.5 パクチーの水やり
パクチーの水やりは、植物の健康にとって非常に重要な管理ポイントです。パクチーは水分を好む植物で、土壌の水分が不足すると成長が阻害されたり、根が傷む可能性があります。そのため、土の表面が乾いたら、しっかりと水を与えることが必要です。
水やりの頻度: 土の表面が乾いたら、たっぷりと水を与えます。季節や天候によって土の乾き具合は変わるので、定期的に土の状態をチェックしましょう。
過剰な水やりのリスク: パクチーは水は好みますが、過剰な水やりは根腐れを引き起こすリスクがあります。水はけの良い土壌を用意し、水が溜まらないように注意してください。
4.6 パクチーの収穫
パクチーを収穫する際、株ごと収穫する方法と外葉を収穫する方法は、それぞれ異なる利点があります。
4.6.1 株ごと収穫する場合
株ごと収穫することで、新鮮な状態でパクチーを楽しむことができます。花が咲く前に収穫することが重要で、花が咲くと葉の質が硬くなり、風味も変わることがあります。
株ごと収穫するタイミングは、好みでよいと思いますが40~60cm位の背丈まで伸ばします。根っこごと引き抜くか株もとでハサミで切って収穫します。
本場のタイ等では、根の部分も料理に使われるスタンダートな食材です。茹でたり、ペースト状にしたり色んなレシピがありますので食べたことない方は是非挑戦してみてください。
4.6.2 外葉から収穫する場合
外は葉から収穫していくのが原則です。食べる分だけ外葉を切りとっていきます。この方法は株は長持ちし長い期間楽しむことができます。
ただし、収穫後の鮮度を保つには不向きな部分があるため使う部分だけ摘み取りをすることがおすすめです。
4.7 パクチーの花芽摘み
パクチーの花芽摘みは、収穫期間を延ばし、葉の品質を保つために重要な作業です。
パクチーは、暖かくなると花を咲かせます。花が咲くとパクチーの葉は硬くなり、風味も落ちてしまいます。これを防ぐためには、花芽が見えたらすぐに摘み取ることが大切です。花芽を摘むことで、植物は葉の成長にエネルギーを集中させることができます。
パクチーの種を採取したい場合は、少量の花芽を残しておくことができます。その場合、葉の収穫量は減りますが、花の成長を観察し、種が熟した後に収穫することができます。
4.8 パクチーの真夏対策
パクチーは比較的涼しいところを好むため、高温多湿の日本の真夏が苦手です。真夏の直射日光に当たると枯れてしまうことがあります。
日よけやツル性植物との混植で半日陰を作ったり、寒冷紗を使用して日差しを和らげる対策が効果的です。枯れる前に早めに収穫することも、状況に応じて対策の1つです。
4.9 パクチーの種取り
葉の収穫を楽しんだ後は、最終段階としてパクチーの花を咲かせ、種を採取します。パクチーの種はコリアンダーシードとして料理にも使えるため、収穫しておくと次年度の栽培にも役立ち、経済的です。
4.9.1 パクチーの種取りのポイント
種を保存する際は乾燥させることが重要です。湿った状態で保存するとカビが生えるリスクがあります。
株ごと刈り取り、日陰で干したり、新聞紙で包んで完全に乾燥させます。カラカラに乾いたら種を集め、袋や缶等に種を移し涼しい場所で保存します。
5.まとめ
地植えでのパクチー栽培における重要なポイントを紹介しました。フレッシュなパクチーは非常に美味しく、栽培スペースも大きく取る必要がないため、混植栽培にも適しています。
この記事では、混植栽培におけるパクチーと相性の良い野菜、そのメリット、実際の作付け例について共有しました。また、パクチー栽培のコツや手順についても詳しく解説しました。これらの情報を活用して、ぜひパクチー栽培に挑戦してみてください。
しま農研では、パクチー以外にも様々な野菜の栽培方法に関する情報を提供しています。これらの情報は50音順で整理されており、どの野菜を栽培したいかにかかわらず、必要な情報を簡単に見つけることができます。家庭菜園に興味がある方は、これらの情報を活用して、より豊かな菜園作りを楽しんでください。
読んでいただきありがとうございました。
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