パセリは食卓に華を添えるトッピングとして、その便利さで多くの家庭菜園愛好家に愛されています。自宅で育てれば、新鮮な状態で必要な分だけ収穫できるのが大きな魅力です。
しかし、パセリを庭やベランダで育てる際、最適な日当たりや場所選びはどうすればいいのでしょうか。実際、パセリは半日陰でも育つとよく言われますが、果たしてその真偽はどうなのでしょう。この記事では、しま農研の実際の経験に基づき、パセリの理想的な日当たりについて検証してみました。
さらに、パセリは他の植物との共生が得意なコンパニオンプランツとしても活躍します。ですから、他の野菜の隣にパセリを一株植えてみるのも、菜園に新たな彩りをもたらす素晴らしい選択です。
今回の記事では、地植えでのパセリの育て方、定植場所の選び方、そして混植栽培のコツについてまとめてみました。あなたの家庭菜園がさらに豊かになるきっかけとなることを心から願っています。
1.パセリについて
パセリの原産地はヨーロッパ中南部から北アフリカにかけての地中海沿岸といわれています。、温暖な気候と豊かな自然がある地域のため日本の真夏のような高温多湿な気候は少し苦手としています。
古代エジプトやギリシャで食用として利用されていた歴史を持ち、16世紀にはイギリスやドイツへと広がりました。日本には18世紀初めにオランダから伝わったとされています。
和名/英名 | パセリ/parsley |
原産地 | 地中海沿岸 |
分類 | セリ科オランダゼリ属 |
発芽地温 | 15~23℃ |
生育適温 | 15~25℃ |
株間 | 30cm |
pH | pH6~6.5 |
収穫まで | 約1ヶ月 |
1.1 パセリの種類
パセリには主に2種類あり、それぞれ異なる特徴を持っています。
1.1.1 カールパセリ
カールパセリは縮れた葉を持ち、見た目の美しさから料理の付け合わせによく使われます。日本でもよくみかけるパセリはカールパセリになります。
肉料理やオムレツなどとの相性が抜群で、消化促進や腸内環境の改善、口臭予防にも効果があるとされています。
1.1.2 イタリアンパセリ
葉が平らで、カールパセリに比べて苦みが少なく香りが強いのが特徴です。ヨーロッパでは一般的なパセリになり様々な料理に使われます
特にイタリア料理に欠かせないハーブで、パスタやピザ、チーズとの組み合わせが特に人気です。爽やかな香りが料理の風味を引き立てます。
2.パセリを混植しよう!
家庭菜園でのスペースの有効活用には、様々な野菜の混植が有効なテクニックです。異なる種類の野菜を同じ場所に植えることで、害虫の抑制や土壌の栄養バランスを維持するといった利点があります。これらの相性の良い植物の組み合わせを「コンパニオンプランツ」と呼びます。
コンパニオンプランツについての基本知識はこちらの記事で詳しく解説していますので知識を深めたい方はご参照ください。
2.1 コンパニオンプランツとしてのパセリ
パセリは相性の良い野菜も多く、一株でも家庭で十分な量を収穫することが可能です。コンパニオンプランツとして採用し、他の野菜と一緒に育てることがおすすめです。ここでは、パセリを混植する際に期待できる効果と相性の良い野菜について紹介します。
2.1.1 パセリを混植する効果
パセリの独特な香りは害虫忌避効果を持つとされています。また、異なる種類の害虫が互いを避ける性質を利用することで、菜園全体に良い影響があることが期待できます。
パセリは背丈が低く、葉が放射状に広がるため、その葉が地面を覆うことで天然のマルチング材としての役割を果たすこともあります。これにより、土壌の乾燥を防ぎ、雑草の成長を抑えることができます。
2.1.2 パセリと相性の良い野菜
パセリは、特にトマトやナス、キュウリなどの夏野菜との相性が良いとされています。これらの野菜と一緒に植えることで、互いの成長をサポートし合い、害虫のリスクを減らすことができます。
ただし、パセリと混植する際は、パセリの背丈が低いため、他の植物に覆い隠されないように配置、十分な光がパセリ自身にも届くように管理することが肝要です。
2.2パセリの日当たり
パセリを庭やベランダで育てる際、最適な日当たりや場所選びはどうすればいいのでしょうか。実際、パセリは半日陰でも育つとよく言われますが、果たしてその真偽はどうなのでしょう。
この章では、しま農研が実際にきゅうりの葉の影を利用した混植栽培をした際の失敗例を参考に、日当たりにおけるパセリの定植位置について考える時に参考にしてください。
2.2.1 パセリの適正環境
パセリは日当たりがよく日当たりがよく水はけと風通しがよい場所を好みます。ただし、夏の直射日光に当たると葉焼けを起こしてしまうこともあるため、夏は半日陰の育てるのもよいとされています。
半日陰の定義は、「昼間の半分くらいの間日が当たるところ、または、木漏れ日くらいの日差しが当たるところ」になります。
2.2.2 しま農研の失敗例から学ぶ
しま農研でのきゅうりの葉を利用したパセリ栽培の失敗例は、日当たりのバランスが植物の生育にいかに重要かを示しています。陰の時間が長すぎたために、パセリの生育が妨げられてしまいました。
この経験から、パセリを半日陰で育てる際には、次の点に注意することが肝要です。
日当たりのバランスを考える: 半日陰でも、適度に日光が当たる時間を確保することが重要です。特に、午前中の柔らかい日差しは、パセリにとって良い光源です。
植物の配置を工夫する: 他の植物との混植を行う場合は、パセリが十分に日光を受けられる位置に植えることが必要です。高い植物の影に隠れないように配置しましょう。
結論として、パセリは半日陰でも育てることは可能ですが、そのためには日当たりの良い時間帯と場所の選定が重要となります。失敗例から得た教訓を活かし、パセリをうまく育てるための環境を整えましょう。
2.3 パセリを使った混植栽培の作付け例
混植栽培は多様な野菜やハーブを効果的に組み合わせることで、それぞれの植物の成長をサポートし、害虫や病気を自然に抑制する方法です。しま農研でのパセリを活用した混植栽培の実例を紹介します。
これらの作付け例は、混植栽培の可能性を示すもので、異なる植物間の相乗効果を活用することで、健康的で豊かな菜園を実現する手助けとなります。自分の菜園にパセリを取り入れ、さまざまな野菜との相性を試してみることをお勧めします。
2.3.2 パセリ × きゅうり
この作付けでは、きゅうりをメインにしてエダマメをサブに14株育てました。コンパニオンプランツとして、マリーゴールド、パクチー、イタリアンパセリ、カールパセリ、チャイブ、ハツカダイコンを選定しました。
この豊かな植物の組み合わせにより、栽培の楽しさも増しきゅうりも順調な生育をみせました。きゅうりを地植えで育てる際にはぜひ参考にしてください。ただし、パセリは定植位置に注意です。この年はきゅうりの葉が影になりすぎて失敗しました
3.パセリの地植えでの栽培計画と準備
地植えでパセリを栽培する場合、計画的に準備を行うことが成功への鍵です。この章ではパセリの栽培計画と準備について具体的に解説します。
3.1 パセリの栽培時期
パセリの生育適温は15~25℃です。少し暖かくなった時期の4月から5月頃の定植がよでしょう。大量に栽培する必要がない場合、播種から始めるより苗を用いた定植が手間もかからず安定した栽培に繋がるため初心者にはおすすめです。
パセリは比較的に耐寒性、耐書性が強いハーブです。適切に栽培すれば11月頃まで栽培を楽しむことも可能です。パセリは比較的手間をかけずに育てることができます。ただし、こまめな収穫と秋頃に発生しやすいキアゲハの幼虫には注意が必要なため見つけた場合は取り除きましょう。
3.2 パセリの地植え栽培の土作り
土作りは栽培成功の基盤を築くために、パセリを含む多くの野菜にとって必要不可欠なステップです。特に晩冬、春からはじめる土づくりは期間をかけてじっくりとおこなうことがおすすめです。遅くとも定植予定日の1ヶ月前には準備にとりかかりましょう。
土作りは、雑草の除去から始め、土壌改良、酸度調整、元肥の施用といったステップに分けておこないます。これらの手順については別の記事に詳しくまとめています。土づくりのさいはぜひこちらの記事を参考にしてください。
4.パセリの育て方
4.1 パセリの定植
パセリを定植する際には、水やりが非常に重要です。根の健康的な活着を促進し、苗の成長を支えるために、以下の手順で水やりを行います。
この手順でパセリの苗は地植えの環境にしっかりと適応し、健康的な成長を遂げることができます。
また、パセリ自身の成長と他の植物の成長を妨げないように、適切な位置に植えることが重要です。他の植物と20~30cm程度の間隔を空けておくことが良いでしょう。
1.ポットへの水やり
定植作業の1~2時間前にポットのエダマメに水をたっぷりと与えます。これにより、土が湿って、根が移植時のショックを最小限に抑えられるようになります。
2.植え穴への水やり
植え穴を掘ったら、その穴にも水をあたえます。このステップは、土に十分な水分を確保し、苗が新しい環境に適応しやすくするために重要です。
3.定植後の水やり
覆土をした後、再度たっぷりと水を与えます。この水やりにより、土と根が密接に接触し、根の活着を促進します。
4.2 パセリの収穫
パセリの収穫は、本葉が13枚以上になり、定植から約1ヶ月後から始めるのがおすすめです。収穫する際は、株元から茎を取り、はさみで切る方法があります。ただし、本葉は少なくとも10枚程度残しておくことが重要です。
外側の葉から収穫すると、パセリの株は持続的に新しい葉を生やし続けます。葉が茂りすぎると通気性が悪化するため、こまめに収穫することが推奨されます。これにより、株が健康に保たれ、収穫量も増えます。
4.3 パセリの追肥
パセリは肥料の与え方で味や香りが変わります。肥料をたくさん与えたパセリは香りも強く苦味が増し葉が硬くなり、少なめにすると逆に香りや味はマイルドになり葉は柔らかくなります。
追肥のタイミングは葉が黄色くなった場合は肥料不足なので追肥します。時期にを目安にするのであれば2~3週間に1度追肥が推奨されますが、過度な追肥は病気や害虫がつきやすくなるため注意が必要です。また、肥料により効き方や与える量が違うためそれぞれの用量を守りましょう。
追肥の具体的な方法や考え方については、別の記事で詳しく解説しています。しま農研ではこの分野に関する研究を続けており、より深い知識を求める方には、是非その記事を参考にしていただきたいと思います。
4.4 パセリの水やり
パセリは、比較的水を必要とするハーブですが地植えの場合頻繁に水やりをする必要はありません。過度な水やりは避けるべきです。過剰な水分は根腐れを引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
ただし、パセリは乾燥に弱いため水不足になると枯れてしまう時もあります。雨が降らず土が極端に乾燥した状態の場合、水を与えることが推奨されます。特に夏の暑い時期は、朝や夕方の涼しい時間帯に、土中深くまでしっかり水が行き渡るようにたっぷりと水やりを行います。また、定植1週間くらいは根の活着を促すためこまめに水やりをすることが推奨されます。
4.5 パセリの夏対策
4.5.1 夏の強い日差しには注意
パセリは夏の強い日差しでは葉焼けをおこしてしまったり、高温多湿の環境化では葉が黄色くなり枯れてしまう時があります。日よけや背丈の高い植物と混植することで半日陰にしたり、寒冷紗等を使用して対策します。
4.5.2 花芽はこまめに刈り取る
パセリは夏から秋にかけて次々と花芽をつけます。花芽をつけると栄養がとられてしまい葉の成長が止まってしまいます。花芽は見つけ次第収穫します。(パセリの花はかわいいので、庭で楽しむ場合は最後は花をつけるのを待つのもいいかもおすすめです)
4.6 パセリの害虫対策
4.6.1 パセリはキアゲハの幼虫やヨトウムシに注意
パセリは比較的虫はつきにくい植物ですが、イモムシ等がいるとあっという間に茎だけになってしまいます。葉に食べ後があると必ずいますので早めに見つけて除去しましょう。また、ヨトウムシは夜に活動する虫のため昼間は葉の影や見つけにくい場所にいるのでじっくり探しましょう。
他にもアブラムシやハダニの被害も受けやすいといわれています。水で洗い流したり、早めに取り除く等の対策をして防除します。
4.7 パセリの冬越し
パセリは耐寒性があり、適切な処置を施せば冬を越すことができます。冬越しを成功させるためにはいくつかのポイントがあります。
霜害の予防: パセリは霜に弱いので、冬季に霜が降りることが予想される地域では特に注意が必要です。株元に落ち葉や敷きわらを敷くことで、霜から保護し、土壌の温度を保つことができます。
適切な水やり: 冬季は水やりの頻度を減らすことが重要です。土壌が凍結することを避けるために、過湿にならないように注意します。土が乾燥している場合のみ水を与えます。
株分け: 春になったら、株分けを行うことで新しい苗を得ることができます。これにより、パセリをより効率的に増やすことができます。
これらの手順に従えば、パセリは冬を乗り越え、春に新しい成長を見せることが期待できます。冬の間は特に注意深い管理が必要ですが、適切なケアを行えば、長期間パセリを楽しむことができます。
5.まとめ
地植えでのパセリ栽培における重要なポイントを紹介しました。パセリは適切に栽培すれば長い期間楽しめ、比較的な手間が少なく育てることができるハーブです。
この記事では、混植栽培におけるパセリと相性の良い野菜、そのメリット、実際の作付け例について共有しました。さらに、パセリ栽培のコツや手順についても詳しく解説しました。これらの情報を活用して、ぜひパセリ栽培に挑戦してみてください。
しま農研では、パセリ以外にも様々な野菜の栽培方法について情報を提供しています。これらの情報は50音順で整理されており、どの野菜を栽培したいかに関わらず必要な情報を簡単に見つけることができます。家庭菜園に興味がある方は、これらの情報を活用して、より豊かな菜園作りを楽しんでください。
読んでいただきありがとうございました!
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