園芸店でポテトチップスの袋で売られた土をみたことはありませんか?この商品はポテトチップスで有名なカルビーと園芸用土メーカーとしても有名な、プロトリーフが共同開発したじゃがいも専用の培養土です。
一度、目にすると、見ためが面白くてついつい気になってしま農研でも栽培をチャレンジしてみることにしました。家庭菜園は楽しみながらやるのが1番です。今回はこの商品を使ったじゃがいもの袋栽培を記事にしてみました。
じゃがいもを袋栽培で育てるのはもう1つメリットがあって、じゃがいもは、孤高の野菜で相性の悪い野菜が多く狭いスペースに色んな品目を植える混植にはあまり向きません。袋栽培のような形で単体で育てる形に向いているともいえます。
みかけると買いたくなったしまうパッケージですよね。しま農研もまんまと買ってこの商品ではじめてのじゃがいもの袋栽培にチャレンジしました
1.じゃやがいもについて
じゃがいもは、アンデス山脈の標高3000~4000mの高地が原産地です。このため、じゃがいもは15~20℃の比較的冷涼な気候を好む特性があります。
また、元々肥沃な土壌で育っていなかったため、やせた土地でも育ちやすいという利点があります。土壌のpHに関しては、多くの野菜が好む中性から微酸性に比べ、じゃがいもはややアルカリ寄りのpH5~5.5を好むとされています。
和名/英語 | じゃがいも/potatoes |
原産地 | アンデス山脈から北メキシコ |
分類 | ナス科ナス属 |
発芽適温 | 15~20℃ |
生育適温 | 15~24℃ |
土壌酸度 | pH5~5.5 |
収穫まで | 約3ヶ月 |
2.ポテトバックとぽろしりを使った栽培のメリット
家庭菜園のために、開発されたポテトパックとぽろしりを使った栽培の様々なメリットがあります。
2.1 育てるのが楽しい
2.1.1 見ためのインパクトがいい
家庭菜園はなんといっても楽しみながらやるのが一番ですよね。見ためのインパクトがよくてしま農研もついつい挑戦してみようという気持ちになりました。
2.1.2 ポテトチップスを再現できる
ぽろしりは実際カルビーのポテトチップスで使われているじゃがいもの品種と同じです。こちらを育ててポテトチップスを作るというのも楽しめるかもしれません。
2.2 栽培の手間が削減される
2.2.1 種イモをそのまま使える
通常、大きな種イモは約50gに切り分ける必要がありますが、ぽろしりの種イモは既に適切なサイズに整えられており、切り分ける手間が不要です。これにより、種イモの準備作業が省略され、栽培開始がより手軽になります。
2.2.2 土をそのまま使える
じゃがいもにはpH5~5.5のややアルカリ性の土が適しています。ポテトバックに含まれる土は、じゃがいも栽培に最適な酸度に調整されているため、安心して使用することが可能です。これにより、じゃがいも栽培の準備段階での手間が軽減されます。
2.2.3 土増しの作業が削減される
ポテトバックの土は非常に軽量であり、持ち運びに便利な点が特徴です。この軽い土は、じゃがいもの芽が出やすい環境を作り出します。また、深植えが可能であるため、通常の袋栽培で必要な増し土の作業が不要となり、栽培の手間を大幅に軽減できます。
しま農研で実施したテストでは、増し土を行った場合と行わなかった場合で、育成結果に差がないことが確認されました。これは、ポテトバックの土がじゃがいも栽培に最適化されていることを示しており、利用者にとって大きなメリットとなります。
3.じゃがいもの袋栽培方法
3.1 じゃがいもの栽培計画
じゃがいもの植え付け時期は、地域の気候に応じて異なります。暖地や中間地では2月下旬から3月頃が適切ですが、寒冷地では4月頃に植え付けることが推奨されます。重要なのは、生育適温(15~24℃)が整った環境で育てること、発芽後の霜害を避けることですので、地域の気候を考慮した計画が必要です。また、種イモの準備は植え付けの2~3週間前から始めると良いでしょう。
じゃがいもの栽培期間はおおよそ3ヶ月程度で、春に植え付けると、夏野菜のピークシーズンである7月や8月よりも少し早く収穫できます。これはじゃがいも栽培の大きな利点の一つと言えます。
3.1.2 じゃがいもの栽培カレンダー
しま農研でのじゃがいもの袋栽培経験を基に、月別の具体的な作業と成長の様子をカレンダー形式でまとめました。このカレンダーを参照することで、じゃがいもの成長の進行や、それに伴うケアのタイミングを具体的にイメージすることができます。
栽培を始める前に、このカレンダーを用いて予習することは、成功への第一歩となります。なお、このカレンダーに記載されているデータはしま農研での実際の結果をもとにしています。あなたの環境や条件下での栽培時には参考程度にご利用ください。
3.2 じゃがいもの種イモの準備
3.2.1 種イモの芽だし作業
じゃがいもの植え付け前の2週間~3週間ほど日光に当てて芽をだす作業を行います。休眠している種イモにこの作業により生育する状態にします。
また、じゃがいもの発芽温度は15~20℃になるため、なるべく温度差がなく雨の心配がない場所がよいでしょう。しま農研では室内の窓際に置いています。
必ずしも芽を出させる必要はありませんが、こちらの作業をしておくと生育が安定するため時間があれば実施しておくのがおススメです。こちらの作業を浴光育芽といいます。
じゃがいもから新芽がでてくれば芽出し作業は完了です。
3.3 ポテトバックでじゃがいもの植え付け
ポテトバックは元々袋栽培用に作られているので手順はほんとに簡単です。手順は下にあ4手順のみ。少しだけ深堀して説明します。見出しち写真のみで進めても大丈夫な構成で解説します。
3.3.1 排水用の穴を14箇所空ける
じゃがいもは多湿を嫌うため通気性と排水性はとても大事です。土の中が蒸れてしまうと生育が悪くなってしまいます。排水用の穴を空けて排水できるよにします。
ポテトバックには穴を空ける場所や大きさも指定されているので分かりやすいです。普通の袋で栽培をする場合は10~16箇所位開けてくとよいでしょう。
3.3.2 青い選を目安に種イモを植え付ける
ポテトバックは土が軽いので、普通の袋栽培で必要な土寄せの作業が必要がなく深植えができます。青い線を目安に種イモはへそを下にして袋の端に2つ植え付けてます。植え付けの時は袋を斜めにすると植え付けしやすです。
じゃがいもは種イモより上にイモができる性質があります。日にあたるとソラニンという物質が増え、緑色に変色します。その部分は毒性があって食べられないので深めに植え付けます。
3.3.3 袋を土から5cm位になるように外側を折り数回折りまげる
袋を折り曲げるのには理由があります。発芽したばかりの芽はとても小さく光合成するためにはなるべくたくさん日が当たる状態にすることが必要です。
袋が高い状態ですと影の部分が増えるのでなるべく日が当たるように袋を土から5cm位になるように外側を数回折りまげます。
3.3.4 たっぷり水をあげる
植え付けが終わりましたら水をあげます。
じゃがいもは高温多湿を嫌い水をあげすぎると腐ってしまうこともあるため、一度水やりをすれば芽をだすまでは水やりの必要はありません。
3.4 じゃがいもの水やり
じゃがいもは、高温多湿の環境を嫌い、適度な乾燥には耐性があります。適切な水やりは、健康な成長に不可欠ですが、過剰な水分は根腐れや病気のリスクを高めます。ここでは、じゃがいもの水やりに関する基本的なガイドラインを紹介します。
3.4.1 初期の水やり
植え付け直後のじゃがいもは、まだ外気温が低いため、水やりは控えめに行います。土が乾燥している場合のみ、水を与えてください。
土の湿度を確認する一つの方法は、袋を持ち上げて重さを感じることです。重さが明らかに軽くなった場合は、土が乾燥している証拠です。
3.4.2 成長期の水やり
葉が茂り始め、気温が上昇するにつれて、じゃがいもはより多くの水分を必要とします。特に夏場の高温期には土の乾燥が早まるため、週に2~3回の水やりが必要になることがあります。
土の重さや表面を観察して必要に応じて水やりを調整してください。
3.4.3 過湿のリスク
過湿はじゃがいもにとってリスクを伴います。特に袋栽培では排水性が重要になるため、適切な排水を確保することが重要です。水をあげすぎると根腐れや病気の発生につながるため、土が十分に乾燥してからたっぴり水を与えるように心がけましょう。
3.5 じゃがいもの芽かき
じゃがいもの栽培において芽かきは、重要な作業の一つです。すべての芽を育てると、株全体の栄養が分散し、結果的にイモの発育に影響を与える可能性があります。この作業には複数の方法があり、栽培環境や個人の好みによって異なります。
しま農研は、袋栽培ではスペースの制約も考慮する必要があるため、しま農研では「種イモ1つにつき1本の芽を残す」方法を採用しています。これにより、株全体のエネルギーが限られた数のイモへと集中し、より良い成長を促します。
芽の取り方
芽を取る際は、単に切り取るのではなく、根元から丁寧に引き抜くことが重要です。根もとを軽く持ち、慎重に揺らしながら引き抜くと、雑菌の侵入を防ぎながらも芽を綺麗に取り除くことができます。不用意に切り取ると、切断面から病原菌が侵入するリスクがあるため、引き抜きが推奨されます。
芽かきは、じゃがいもの生育において重要な役割を果たします。適切に行うことで、健康なイモの発育を促し、豊かな収穫につながります。ご自身の栽培環境に応じて最適な方法を見つけてみてください。
3.6 じゃがいもの花の摘み取り
じゃがいもの栽培において花の摘み取りは、株のエネルギーを適切に管理するための重要な作業です。実が成ることで、株がその成長にエネルギーを分散させ、最終的にイモの成長に影響を与えることがあります。そのため、効率的なイモの育成を目指す場合は、花を摘み取ることを検討すると良いでしょう。
一方で、家庭菜園では、じゃがいもの花を楽しむことも一つの魅力です。花を観賞する期間を設けた後、摘み取るという方法もあります。しま農研では、花をある程度楽しんだ後に摘み取るようにしています。
3.7 じゃがいもの追肥
じゃがいもの袋栽培では、追肥の必要性は通常低いです。家庭菜園でよくある失敗は、肥料をあたえすぎるといことがよくあります。特に生育初期に肥料をあげすぎると害虫がつきやすくなったり、葉が茂りすぎてしまいます。じっくり待つことも大事です。
株が大きくなってきたタイミングで追肥します。花が咲き出したころも追肥のタイミングですので様子をみながら追肥しましょう。
3.8 じゃがいもの収穫
じゃがいもの収穫時期は植物の状態によって判断します。以下は収穫のポイントです。
収穫のサイン: じゃがいもの葉が黄色く変わり始めたら、収穫の時期が近づいています。植え付けから約3ヶ月後にこの変化が見られることが多いです。確実に収穫した場合は枯れるまで待つのも一つの方法です。
収穫の手順: 収穫時には、土を掘り起こしてじゃがいもを取り出します。優しく扱い、イモを傷つけないように注意してください。取り出したじゃがいもは、日の当たらない場所に置き、土が乾くまで待ちます。これにより土が落ちやすくなり、後処理が容易になります。
4.しま農研のじゃがいも栽培記録
4.1 ポテトバックとじゃがりこバケ土の栽培レポート
しま農研ではきゅうりの地植え栽培の過程を実際に観察し、「栽培レポート」として詳細にまとめています。このレポートには、月ごとの成長記録や日常のケアの様子が含まれています。これにより、あなたの栽培の参考や目安としての活用ができるようにしています。
家庭菜園には多くの疑問や課題が存在します。そのため、しま農研はこれらの疑問や課題に対して実際の検証や考察を行っております。ポテトバックとじゃがりこバケ土の比較や増し土作業の有無について検証など、失敗した実例を含む多岐にわたるテーマについてレポートしています。
じゃがいもの袋栽培に関するさらなる疑問や課題がある方は、ぜひこちらのレポートも参考にしてください。
5.まとめ
この記事を通して、ポテトバックを使ったじゃがいもの袋栽培について解説しました。さらに、実際にしま農研が育てたじゃがいもの栽培レポートも共有することで、実践的な知見を提供しました。
ポテトバックは見ためよく、育てやすさも追及されていて一度挑戦してみてもよいかもしれません。特にお庭やベランダで育てるとアクセントの1つになるのでおすすめです。また、翌年以降も栽培を通じて得られた経験をこの記事に反映させています。この記事が、あなたのきゅうり栽培の参考になれば幸いです。
なお、しま農研では多種多様な野菜の栽培ガイドを提供しており、これらは50音順に整理されています。どの野菜を栽培しようと決めているかにかかわらず、必要な情報が手軽に見つかりますので、ぜひお役立てください。
読んでいただきありがとうございました。
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