こんにちは!しま農研です。私たちは毎年30種類以上の野菜を庭で栽培し、家庭菜園の魅力を日々体感しています。
花オクラという、ちょっと珍しい植物をご存じでしょうか?オクラの仲間でありながら、少し大きめで美しい花を咲かせる植物で、その花は加熱すると“とろり”とした独特の食感になり、お浸しやスープなどによく合います。新鮮な状態で食べるのが一番美味しいため、採れたてをすぐに食べられる家庭菜園との相性も抜群です。
この記事では、花オクラの地植えでの育て方について解説していきます。オクラと同じアオイ科の植物なので、オクラと一緒に育てるのもおすすめです。見て楽しい、食べて美味しい花オクラを、ぜひ家庭菜園で楽しんでみてください!

大きな花が魅力の花オクラ。オクラと管理が似ているので一緒に育てるのもおすすめです!
1.花オクラについて
家庭菜園を始める前に、まずは花オクラの基本的な特徴を知っておきましょう。植物の特性を理解しておくことで、栽培への熱意も高まり、より楽しく育てることができます。
花オクラは、アオイ科トロロアオイ属の一年草で、一般的なオクラを食用の花として楽しめるように品種改良された野菜です。そのため、花はオクラよりもひと回り大きく、柔らかな質感と美しい色合いが特徴です。
栽培方法はオクラと非常によく似ており、すでにオクラを育てたことがある方であれば、比較的スムーズに育てられる野菜です。オクラ同様、暑さに強く、日当たりと水はけのよい環境を好むため、地植えにも適しています。
和名/英語 | 花オクラ |
原産地 | 中国 |
分類 | アオイ科トロロアオイ属 |
発芽適温 | 25~30℃ |
生育適温 | 20~30℃ |
株間 | 30cm |
土壌酸度 | pH6~6.5 |
収穫まで | 約1ヶ月 |
2.地植えでの花オクラの栽培計画と準備
花オクラを地植えで育てるためには、事前の準備がとても重要です。このセクションでは、栽培時期・栽培スペース・土づくりなど、花オクラを元気に育てるための基本的なポイントをご紹介します。
2.1 花オクラの栽培時期
花オクラの植え付け適期は地域や気候によって異なりますが、中間地では5月から6月上旬が目安です。
花オクラもオクラと同様に高温を好みます。生育適温は20~30℃のためオクラより少し早めでも育ちますが、オクラと同じ時期に育てるのが管理も楽でおすすめです。
種まきから約50〜60日ほどで花の収穫が始まるのが一般的です。花オクラもオクラと同様に移植をやや嫌う性質があるため、直播きで育てるのがおすすめです。
ただし、早めに育てたい場合や気温が不安定な時期は、ポットで育苗してから定植する方法もあります。市販の苗を利用すれば、手軽にスタートすることも可能です。
2.2 花オクラの栽培スペース
花オクラは、オクラと同様に太く深い直根を持ち、しっかりと根を張るスペースがあると安定して育ちます。風通しと日当たりの良い場所を選びましょう。
地植えの場合、以下のようなスペースが目安になります:
- 畝幅:60cm程度
- 株間:1本仕立てなら30cm、複数本育てる場合は40~50cm
花が大きくて風にあおられやすいため、風の強い場所では支柱を立てて倒伏を防ぐ工夫もあると安心です。
2.3 花オクラの土づくり
土づくりは、花オクラを含む多くの野菜にとって栽培成功の土台を築く重要な作業です。晩冬から春にかけて、じっくりと時間をかけて準備を進めましょう。植え付け予定日の1ヶ月前には作業を始めておくのが理想です。
適切な土づくりには、雑草の除去、土壌の改良、酸度の調整、そして元肥の施用が含まれます。これらの手順については、「春夏野菜の土作り手順と時期」の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
3.地植えでの花オクラの育て方
この章では、地植えでのオクラの育て方について、種まきから収穫、管理方法まで、しま農研の実践をもとにわかりやすくご紹介します。
3.1 花オクラの種まき(地植え)
花オクラは高温を好み、発芽適温は25〜30℃。中間地では5月から6月上旬に種まきすると、安定して育ちます。しま農研では、例年オクラと同時期にスタートしています。
花オクラは移植にやや弱く、直播きが基本です。ただしオクラと比べるとわき芽の管理が少し大変なため密植せず、少ない本数で育てるのがおすすめです。
株間の目安としては、1本立てで30cm、複数本仕立てで40〜50cm程度を取ります。株ごとのスペースを広めに確保することで、風通しや整枝の作業もスムーズになります。
3.1.1 花オクラの種まき手順
基本的な種まき手順はオクラとほぼ同じですが、花オクラは株が広がるため、間隔をやや広めに取ると育てやすくなります。
1. 種まき用の穴を空ける
植え付け場所に、直径約5cm・深さ1cmの穴を空けます。花オクラは好光性種子のため、浅めの穴にまくのがポイントです。
2. 種をまく
仕立てる本数に対して、2〜3粒多めに播いておくと、発芽しなかったときのリスクを回避できます。たとえば、1本育てたい場合は3〜4粒を播くようにします。
3. 覆土して水やり
種を覆土したら、軽く手で押さえて土を密着させます。その後、たっぷりと水を与えます。発芽するまでは、土が乾燥しないように適度な湿り気を保つことが大切です。
3.2 花オクラの間引き(地植え)
間引きは、発芽した複数の芽の中から育てていく苗を選ぶ大切な作業です。健康な苗をしっかり選び、余分な芽は根元からハサミでカットして整理しましょう。
間引きは2回に分けて行うのが基本です。以下のようなタイミングで、仕立てたい本数に合わせて本数を減らしていきます。
間引きの回数 | タイミング | 残す本数 |
---|---|---|
1回目 | 本葉が1〜2枚の頃 | 仕立てる本数+1 |
2回目 | 本葉が3~4枚の頃 | 最終的に育てる本数に決定 |
たとえば、1本仕立てなら最終的に1本、3〜4本仕立てなら、その本数に合わせて元気な苗だけを残します。
🌱 間引きのポイント
- 双葉のあとに出てくるギザギザした葉が「本葉」です。
- ハサミで根元から丁寧に切ることで、残す株の根を傷つけにくくなります。
- 生育がよく、葉の色が濃くて茎がしっかりしている苗を選びましょう。
3.3 花オクラの収穫(地植え)
花オクラの育て方はオクラと非常に似ていますが、育てる目的が「実」ではなく「花」である点が大きな違いです。ここでは、花オクラの収穫のポイントを解説します。
3.3.1 早めの収穫がポイント
花オクラの花の寿命は非常に短く、日の出と共に咲き、夜にはしぼんでしまいます。この特性のため、花が咲いたら迅速に収穫することが求められます。この短い持続性が、スーパー等であまり目にすることが少ない理由です。
3.3.2 花オクラ収穫後の保存のコツ
収穫した花オクラは、雄しべを取り除き、花びらのみを残します。その後、水で十分に洗浄し、キッチンペーパーで水分をしっかりと取り除きます。
水分を取り除いた花オクラをキッチンペーパーに包み、密閉容器に入れて冷蔵庫での保存を推奨します。この方法により、数日間の保存が可能となります。
3.4 花オクラの摘葉と整枝(地植え)
花オクラは、その名の通り“花”を楽しむための野菜です。そのぶん、整枝や摘葉といった管理が、花の咲き具合や花数に直結します。
🌿 わき芽かきのポイント
わき芽は株元〜中段にかけて多く出やすく、放置すると風通しが悪くなり病気のリスクが上がるだけでなく、花が葉に隠れて気づきにくくなることもあります。
不要なわき芽は早めに摘み取り、主枝をすっきり保つことで収穫しやすく、株も健康に保てます。
🍃 下葉かき(摘葉)の目安
花が咲いたあとは、その花の1〜2節下までの葉を残して下の葉を取り除くのが目安です。葉が重なりすぎないようにしながら、上部へ栄養を集中させるイメージで作業しましょう。
ただし、葉が小さく全体に勢いがないときは、摘葉は控えめにするのがポイントです。
3.5 花オクラの追肥:葉の診断表の視認性改善(地植え)
花オクラは葉や茎も旺盛に育ちますが、花の咲き具合によって栄養の過不足が見えやすい植物です。
一番花が咲いたタイミングで、まず1回目の追肥を行いましょう。それ以降は成長の様子を見ながら調整します。過剰な追肥は、害虫もつきやすくなるので注意しましょう。
✅ 追肥のサイン
- 花が成長点に近い位置で咲く
- 葉の切れ込みが深くなる
- 花数が減ってきたとき
※花オクラの葉はもともと切れ込みが深いため、葉の形状だけに頼らず、花の数や大きさも観察ポイントになります。
状態 | 花の咲く位置 | 葉の状態 |
---|---|---|
肥料不足 | 成長点に近い場所に咲く | 切れ込みが深く、細くなる傾向 |
適正 | 花の上に葉が3枚以上 | 生長初期と同じ形 |
肥料過多 | – | 葉が大きくなりすぎ。 |
追肥は、植物との対話のような作業です。マニュアル通りに与えるのではなく、株の様子をよく観察しながら調整することが大切です。もっと詳しく追肥について知りたい方は、しま農研の以下の記事もぜひ参考にしてください。
3.6 花オクラの水やり(地植え)
基本的には、地植えで育てる場合は水やりは不要ですが、真夏など土が乾いた状態や花オクラの葉がしなっとした状態が、水切れのサインとして現れます。
これを目安にして、水やりを行うタイミングを見極めることが肝心です。真夏は、暑さが厳しい日中よりも、朝早くや夕方の涼しい時間帯に水やりをすることがおすすめです。
3.7 花オクラの種取りと保管(地植え)
花オクラの種を取ることで、来年も同じ花を楽しむことができるのは魅力的です。種取りはそんなに難しい作業ではありませんが、いくつかのポイントを抑えて行うことが大切です。
1.花オクラの種採り
まず、種を採るためには花を放置し、実にする必要があります。しかし、収穫の初期や中盤で実をつけると、その株の生長や花の生産に影響が出ることがあるので、収穫の終盤、花が少なくなってきた時期を選ぶとよいです。
実が十分に成熟して茶色くなったら、その実から種を取り出します。取り出した種が湿っている場合は、風通しの良い場所できちんと乾燥させることが必要です。
2,花オクラの種の保管
種の保管に関しては、環境をしっかりとコントロールすることが大切です。低温、低湿、暗所での保管が理想的です。冷蔵庫はその条件を満たすのでおすすめですが、冷蔵庫に入れるのが難しい場合でも、直射日光を避けて、20℃以下の涼しい場所に保存します。
また、種が湿気を吸収しないように、乾燥剤を一緒に保管すると、種の品質がより長持ちします。
4.しま農研の地植えでの花オクラ栽培:実践編
しま農研では、地植えによるオクラの栽培を毎年継続的に実践しながら、様々な工夫や問題点の発見、改善の取り組みを進めています。この章では、実際の栽培の様子や気づきを共有することで、花オクラ栽培に取り組む方々のヒントや参考になればと思っています。
4.1 花オクラの地植え栽培の観察記録
しま農研では、花オクラの生育の様子をリアルタイムで観察・記録しています。種まきから間引き、支柱立て、収穫、追肥のタイミングなど、各工程における生育の変化や作業の記録を積み重ねています。
今年は、一緒に育てているオクラとの生長や大きさの違いについても比較観察を実施する予定です。花の咲き方や株の広がり方など、細かな差をチェックしながら、地植えでの花オクラ栽培のコツを深めていきます。
これらの記録は、その年の気候や栽培条件に応じた判断材料として活用できるだけでなく、ご自身の栽培と比較する際の目安にもなります。
5.まとめ
この記事では、花オクラの地植えでの育て方について、種まきから間引き、収穫や管理方法、そしてしま農研での実践記録まで詳しくご紹介しました。
花オクラは、オクラに似た栽培方法でありながら、見た目にも美しく、しかも花を食べて楽しめるというユニークな魅力を持った野菜です。
育て方は比較的シンプルですが、花が咲いたその日に収穫する必要があるなど、ちょっとした工夫と観察力も必要です。
🌱 栽培のポイントを振り返ると…
- 種まきは5〜6月上旬、地温がしっかり上がってから
- 間引きは2回に分けて、生育のよい苗を残す
- 密植を避け、風通しと日当たりを確保する
- 花が咲いたらすぐに収穫!保存も工夫次第で数日OK
- わき芽かき・摘葉・追肥で、花の質と収穫量を高める
- 種取りもできるので、翌年の栽培にもつなげられる
この記事が食卓にそのまま並べる楽しさを、ぜひあなたにも味わうきっかけになれば嬉しく思います。
また、しま農研では多様な野菜の育て方を50音順や科ごとでまとめたページもご用意しています。興味のある野菜の育て方をすぐに見つけられますので、ぜひこちらもご活用ください。
読んでいただきありがとうございした!
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