よい土をめざすためには、自分の菜園スペースの土の状態を知ることが重要です。改善すべきポイントを把握することで、効果的な土作りが可能となります。しま農研では、土質、水はけ、酸度、微生物の4つの要素を重視してチェックしています。
本記事では、これらの要素のチェック方法について詳しく解説しています。例えば、土質のチェックでは土の触感や色、粒子の大きさなどを確認し、水はけのチェックでは水の浸透性や排水性を評価します。また、酸度や微生物のチェックも重要なポイントです。
これらのチェック方法を活用して、自分の菜園スペースの土の状態を正確に把握しましょう。そうすることで、適切な土作りが可能となり、健康で育ちの良い野菜を収穫することができます。家庭菜園の始まりを土作りからスタートさせ、豊かな収穫を楽しみましょう!
1.土質のチェック方法
植物は柔らかい土壌で根が伸びやすく、よく育ちます。そのため、土壌の状態を確認することは重要です。実際に土に触れたり観察することで、ある程度の土質を把握することができます。
特に壌土と呼ばれる土壌は団粒構造が進んでおり、野菜の生育に非常に適しています。ですので、自分の菜園スペースの土の状態をチェックしてみましょう。
1.1 土の掘り起こしと土の層の確認
スコップやくわを使って菜園スペースの土を掘り起こします。表面が踏み固められていても、掘り起こした土が簡単に崩れる柔らかさがあれば良い土です。
また、土を50cmほど掘り下げ、作土層の状態を確認しましょう。作土層とは野菜の根が広がる部分で、20~30cm程度の厚みがあると良いとされます。作土層を支える下層土は締まっていることが一般的ですが、締まりすぎていると水はけが悪くなるため、改善が必要です。
1.2 手での土のチェック
適度な湿り気のある土を一つかみ取り、手で固く握りしめてみましょう。もし固まらずにばらばらと崩れる場合は、砂の割合が多い土壌です。指先で軽く押しても土がもろく砕ける場合は、団粒が発達している良い土壌です。一方、指先で押しても土が砕けずにへこむ場合は、粘土質で単粒構造の土壌となります。
この手でのチェックは、初心者にも分かりやすく、しま農研でもおすすめの作業です。土壌の性質を確認することは、肥料を適切に施す量を考える上でも重要です。ぜひこのチェック方法を活用し、自分の菜園スペースの土壌状態を把握しましょう
1.3 土の観察
比較的乾燥した土を手に取り、指先で薄く広げてみましょう。その際に、粗い砂粒、団粒、粘土質の細粒などの割合を大まかに観察することができます。土壌の色や質感を確認することで、土壌の性質を把握することができます。
見た目に黒っぽくてふわふわしている土は有機物が多く、作物の生育に適した肥沃な土壌です。このような土壌は栄養素が豊富であり、作物の根がしっかりと成長しやすくなります。一方、黒みがなくパサパサしている土はやせた土壌であり、保肥力が悪く固まりやすい特徴があります。
2.水はけチェック方法
適切な水はけは、野菜の根にとって重要な要素です。水はけが悪いと根が水に浸かってしまい、根腐れや病気のリスクが高まります。水はけの良い土壌で野菜を育てることは、健康な根の成長や病気の予防につながります。
水はけのよい土壌は、土の中に大きな隙間が多く、さらにそのふかふかした層が厚い土です。雨などで水分が余分にある場合でも、大きな隙間を利用して余分な水分を下方へ移動させます。ただし、底の部分に水を通しにくい層がある場合や、水の移動が停滞し地下水の状態になると、土壌がぬかるむ場合があります。
水はけのチェック方法を以下に紹介します。
2.1 雨の後に踏み込んでみる
雨がやんだ1〜2日後に、菜園スペースの土に足を踏み込んでみましょう。
水はけの良い土壌では、足がぐにゅっと沈み込むことなく、しっかりとした土の表面が保たれます。これは土壌が余分な水分を下にしっかりと排水する能力を持っている証拠です。一方、足がめり込む場合は、土壌の水はけが悪いことを意味します。
2.2 雨の後に掘る
20〜30ミリの雨が降った後、1〜2日経ったら土を掘ってみましょう。水はけの良好な土壌では、掘った土がふわりとほぐれ、柔らかくなります。このような土の状態では、余分な水分が上手に排水されていると言えます。
一方、2〜4日経っても掘り上げた土がねばねばしているようであれば、水はけが悪い土壌となります。ねばねばした土壌では、水分が滞留し根が酸欠になる可能性があります。
3.酸度チェック法
野菜の生育には適切な酸度が必要です。酸性が強いと、植物の根が傷んでしまい、用雨紛の吸収が阻害されてしまうなど生育に影響がでてしまいます。
日本の土壌は降雨量の多さやアルカリ性ミネラルの流出により酸性に傾きがちです。酸性が強い土壌では植物の根が傷み、栄養吸収が阻害されるため、改良が必要です。石灰の投入量を決めるためにはpHを測定します。
以下にいくつかの測定方法を紹介します。
3.1 pH試験液を使う
コップなどの容器に土と水(蒸留水がよい)を1:2.5の容積比で入れ、よくかき混ぜます。約30秒後、上澄み液を試験管に移し、測定液を2〜3滴垂らします。液の色が変化し、比較表で色を確認してpH値を読み取ります。
3.2 pH試験紙を使う
コップなどの容器に土と水(蒸留水がよい)を1:2.5の容積比で入れ、よくかき混ぜます。その中にpH試験紙を水中に浸し、紙の色の変化からpHを読み取ります。
3.3 土壌酸度計を使う
土壌酸度計を使用する場合は、計器の先端を湿った土壌に突き刺して酸度を測定します。土壌が乾燥している場合は、少し水を加えてから測定するとよいでしょう。
4.土中の微生物のチェック方法
土壌中に無数に生息いる微生物はいい土を作るのにはかかせません。とは言えなかなか目にみえるものではありません。
土が団粒化して水もち、水はけ、通気性がよく、pHの値や養分のバランスが適切であれば土壌生物性がいると判断してもよいのですが、紙を使った方法で診断する方法があります。
4.1 白い紙を土の中にいれて微生物診断
白い紙を土の中に埋め、適度な水やりをして土の乾燥を防ぎます。2〜3週間後に紙を掘り出します。もし紙に赤いカビや糸状の菌が発生していれば、微生物の活動が活発です。また、紙が分解されてボロボロになる場合も微生物の活動が進んでいる証拠です。
もし紙が分解されず微生物の力が弱いと判断される場合は、堆肥の量を増やすなどの対策が必要となります。
5.まとめ
良い土壌を作るためには、自分の菜園スペースの土の状態をチェックすることが重要です。本記事では、土質、水はけ、酸度、微生物の4つのチェック方法について紹介しました。これらのチェック方法を覚えておくと、適切な改善策を立てることができますし、改善の効果も確認できます。
ただし、土作りは奥が深く、完璧を求めることはおすすめしません。少しずつ改善をしていくことで長い目で楽しむことがしま農研としてはおすすめです。野菜は強い植物であり、完璧でなくてもちゃんと育ってくれますので、安心して取り組んでください。
他の土作りの方法や作業についても、こちらの記事で詳しくまとめていますので、ぜひご確認ください。
読んでいただきありがとうございました。
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